概要
宋朝体とは大きく分けて、宋代の木版活字において形作られた端正な楷書体と、そこに源流のある右上がりで硬質といった特定の特徴を持つ近現代の活字書体、といった2種類を表す。
宋代
宋代に形作られた書体と定義すると、浙江、四川、福建、臨安で生まれたものが挙げられる。
木版印刷が発展を遂げた中国の宋代では、多くの書籍が木版印刷で多く刊行された。これは元々著者直筆のものを彫っていたが、この頃になってからは様々な能書家の書風を再現して彫刻され、浙江刊本では顔真卿、四川刊本では欧陽詢、福建では柳公権といった能書家の筆致を踏襲した書体がそれぞれで彫られていたのである。
10世紀、臨安に遷都して南宋代が始まると、詩文や随筆などの文学作品の写本が多く作られるようになる。その中でも棚北大街では民間書店によって多くの民間書店が刊刻を行ない、これらは「書棚本」と言われた。これはそれまでの書体を踏襲しながらも、より整理された工芸のための独自の書体となった[1]。
南宋〜現代
今日、多くで宋朝体と呼ばれているのは書棚本のうちの一、陳起・陳宅書籍舗による、いわゆる「陳宅書籍舗刊本」に由来する書体である。陳宅書籍舗刊本は書棚本の中でも特に刊行数が多かった。
6度右上がりの骨格に楷書の筆法を残しながらも工芸的な直線によって端正硬質の字面に変化した書体で、これは明代になると多く模倣・覆刻されることとなる。そのようにして成立したこの木版活字書体こそ現在広く宋朝体、仿宋体と呼ばれる書体である。
中国では明朝体のことを宋体、宋朝体のことを仿宋体(倣宋体)と呼んで区別しており、宋朝体は明朝体よりも多くのフォーマルな書面で本文書体として用いられている。
日本においても陳宅書籍舗刊の書体を元として津田三省堂「宋朝体」、森川龍文堂「龍宋体」などが金属活字で登場する。これは長体(縦に長い)の長宋体、正体の方宋体が作られた。写真植字では写研の「石井宋朝体」やモリサワの「宋朝体FMK1」などがリリースされた。
現代、デジタルとなってからもさらに多数の企業から様々な新しい宋朝体がリリースされている。多くは陳宅書籍舗刊本に由来するが、欣喜堂では陳宅書籍舗刊本の書体を元とした「陳起」、四川本の書体を元とした「龍爪」をそれぞれリリースし「臨安宋朝体」「四川宋朝体」と区別している。
代表的な宋朝体の例
ここでは、和文書体における宋朝体の例について挙げる。ARPHIC、ダイナコムウェアなど中国語圏の企業が日本語版を制作している例もある。
方宋体 |
長宋体 |
その他 |
関連項目
脚注
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