墓場鬼太郎とは
貸本用の漫画出版社 兎月書房と契約した水木しげるが描いたマンガ。続編が三洋社、佐藤プロ、東考社と複数の出版社を跨いで発行され、後の「ゲゲゲの鬼太郎」の原型となる。
ゲゲゲの鬼太郎と違い、墓場鬼太郎に出てくる鬼太郎は人間の味方ではない。しかし回を重ねるごとに徐々に現在の鬼太郎に近い性格となっており、人間と友好的に接している作品もある。
後に週刊少年マガジン(講談社)で「墓場の鬼太郎」という名前で不定期連載されたが打ち切られる。その後「悪魔くん」のヒットにより、鬼太郎作品も徐々に認められいった。
貸本時代は出会った人間を不幸にする怪しい存在だったが、上記のようにやや性格などが軟化し、少年誌に移行した周辺から、妖怪と戦う正義の味方へ性格も変わりゲゲゲの鬼太郎と改題されてヒットするようになった。
武内寛行版『墓場鬼太郎』
上記の兎月書房が経営難に陥り、原稿料が一切支払われなくなった事を機に水木は長井勝一(後の「ガロ」編集長)の三洋社に移籍した為、兎月書房側は武内寛行という作者に新しく迎えて続編を執筆させた。
勿論、水木側は当初激怒したものの、『墓場鬼太郎』という貸本自体が短編集という名目で出版されていた(当時の貸本では表題作以外の他の作者の全く異なる作品が併録されている事は珍しくなかった)のと、元々鬼太郎の原作者が別に存在していた事(その為、初期の墓場鬼太郎の表紙には戦前の紙芝居版『ハカバキタロー(墓場奇太郎)』の原作者である伊藤正美のクレジットも表記されていた)。更に執筆を引き継いだ竹内寛行による直接の懇願もあってか、”黙認”という形で水木しげるの手から放れた鬼太郎が描かれる事となった。
竹内版『墓場鬼太郎』は水木版の第3巻から枝分かれした内容となっており、開始早々にねずみ男が死亡して物語から降板し、銀行員の水木は改名して私立探偵に職を変えるといった事で水木色を払拭し、更に水木版よりも先駆けて西洋妖怪等との一大決戦を描き、結果的に当時としては19巻(実質的には16巻)に及ぶ長期継続作品となった。ちなみに終了の理由は不人気による打ち切りではなく、水木が兎月書房との和解の条件として未払いの原稿料の清算と共に竹内版『墓場鬼太郎』の終了を提示したからとされている為、当時としてはかなりの人気があった作品だったと思われる。
ちなみに水木しげるの方はどうなったかというと、先述の通り、三洋社に移籍後に『鬼太郎夜話』を執筆したものの、人気が出なかった上に社長の入院による混乱で打ち切られ、果ては一話分の未発表原稿が丸ごと紛失してしまうという散々な結果となっている(そして上記の通り…である)。
今となっては竹内版『墓場鬼太郎』は完全に幻の作品となってしまっており、復刻も絶望的ではあるものの、評論の題材として取り扱われた書籍やネット上での情報はそこそこあるので、興味が湧いた方は調べてみるのもいいのではないだろうか?余談だが、竹内寛行は後に、凡天太郎のチーフアシスタント(事実上の作画担当)として黎明期の週刊少年ジャンプに連載された『ブラックプロファイタータケル』に関わる事となり、同じくジャンプで連載されていた水木しげるの『千年王国』と競合する事となるのは皮肉としかいいようがない。
TVアニメ
ノイタミナシリーズとしてフジTV深夜枠で放映された。アニメ・ゲゲゲの鬼太郎の第5作目の放送中でもあった。全11話。
メインの声優は第1期で鬼太郎を演じた野沢雅子、目玉おやじを演じた田の中勇、ねずみ男を演じた大塚周夫3人のレギュラー陣が36年振りに揃った。(これが3人での最後の共演になってしまったが。)ほか、ベテラン声優が多くを占めている贅沢なアニメである。ゲスト声優として中川翔子、ピエール瀧、京極夏彦が参加した。
貸本時代の雰囲気を出すためか、デジタル彩色っぽさを極力抑える作画演出が施されており、彩色は基本的にくすんだ色になっているのが特徴(ちゃんちゃんこの黄色の部分だけあえてやや鮮やかにしてある、偽ちゃんちゃんこはこれに該当しないという細かい点も)。
シリーズ構成の成田良美は、喫煙シーン・飲酒シーンを入れたがってはいたものの、自主規制の関係で盛り込むことが出来なかった。その他差別的な表現、高僧の名前がチンポからトムポへと変更されるなど、いくつか改変点がある。
原作では作品によって設定がまちまちだったが、アニメでは構成の都合上それとなく一本化するように設定を再構築している。当初の予定ではもう1エピソード入る予定だったようだが、公式からは除去された。
当時のノイタミナシリーズ最大視聴率を稼ぎだした(現在は更新されている)。
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関連商品
関連項目
外部リンク
フジテレビ「ノイタミナ」 | ||
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