吉川英治文学賞とは、財団法人吉川英治国民文化振興会が主催し、講談社が後援する文学賞。
大衆文学のベテラン作家が対象。ここから派生した若手作家のための賞が吉川英治文学新人賞。
概要
1967年、各種文化活動の功労者を表彰する吉川英治文化賞とともに設立。現在は、若手作家が対象の吉川英治文学新人賞(1980年設立)、文庫のシリーズものを対象とした吉川英治文庫賞(2016年設立)とあわせた四賞を「吉川英治賞」を総称している。
大衆文学のベテラン作家を対象とした賞で、初期は業績全般を対象とした受賞も結構あったが、現在は基本的に、既に充分すぎるほどの実績のあるベテラン作家の力作を顕彰する賞となっている。ただ、デビュー10年目で獲った宮本輝や、12年目で獲った奥田英朗のように、ベテランと呼ぶにはまだ早いような作家が獲ることも稀にある。
柴田錬三郎賞、中央公論文芸賞とともに、直木賞を獲ったあとで獲れる賞のひとつ(ただし、近年でも森村誠一や赤川次郎、帚木蓬生が獲っているように、別に直木賞を獲っていなければ獲れない賞ではない)。中堅のうちに直木賞を獲ったあと、バリバリのうちに柴田錬三郎賞と中央公論文芸賞を獲り、ベテランとなってこの賞を獲れば押しも押されぬ巨匠。あとは紫綬褒章を貰って文化功労者というのが、大衆文学作家の理想的な出世コースだろう。
ちなみに純文学で同じ立ち位置にあるのが野間文芸賞である。
大百科に記事のある受賞作家・作品
- 松本清張 (第1回『昭和史発掘』『花氷』『逃亡』ならびに幅広い作家活動に対して)
- 司馬遼太郎 (第6回『世に棲む日日』を中心とした作家活動に対して)
- 池波正太郎 (第11回《鬼平犯科帳》《剣客商売》《仕掛人・藤枝梅安》を中心とした作家活動に対して)
- 藤沢周平 (第20回『白き瓶 小説長塚節』)
- 宮本輝 (第21回『優駿』)
- 皆川博子 (第32回『死の泉』)
- 北方謙三 (第38回『楊家将』)
- 宮部みゆき (第41回『名もなき毒』)
- 奥田英朗 (第43回『オリンピックの身代金』)
- 夢枕獏 (第46回『大江戸釣客伝』)
- 大沢在昌 (第48回『海と月の迷路』)
- 東野圭吾 (第48回『祈りの幕が下りる時』)
- 赤川次郎 (第50回『東京零年』)
- 篠田節子 (第53回『鏡の背面』)
- 京極夏彦 (第56回『遠巷説百物語』)
- 桐野夏生 (第57回『燕は戻ってこない』)
- 黒川博行 (第58回『悪逆』)
関連項目
親記事
子記事
- なし
兄弟記事
- 芥川賞
- 泉鏡花文学賞
- 江戸川乱歩賞
- 大藪春彦賞
- 柴田錬三郎賞
- 中央公論文芸賞
- 直木賞
- 日本推理作家協会賞
- 日本ミステリー文学大賞
- 野間文芸新人賞
- 本格ミステリ大賞
- 本屋大賞
- 三島由紀夫賞
- 山田風太郎賞
- 山本周五郎賞
- 吉川英治文学新人賞
- 吉川英治文庫賞
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