使用者とは、次の2つの意味を持つ言葉である。
本記事では1.について解説する。
概要
定義
労働基準法第24条で「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。」と定められていて、法令や労働協約による取り決めがないのならその条文を遵守しなければならない。そのため上記の定義の「賃金」を「金銭」に置換しても大体において正しいと言える。
法律における定義
労働に関する法律において使用者やそれに関連する言葉は次のように定義されている。
労働基準法第10条 この法律で使用者とは、事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者をいう。
労働基準法第11条 この法律で賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。
使用者の例
企業において使用者とは株主のことであり、株主総会で株主に選任される取締役(経営者)のことである。
公務員を労働者とみなすことが一般的であるが、公務員を使用する使用者は国会である。日本国憲法は財政民主主義の理念を持っており、国会の承認を得て予算を組んでその予算で公務員を雇う事を様々な条文で定めている。
使用者は経済的強者である
「使用者は労働者に比べて経済的強者である」と考えることが一般的である。
全逓東京中郵事件の最高裁判決(昭和41年10月26日)でも「この労働基本権の保障の狙いは、憲法二五条に定めるいわゆる生存権の保障を基本理念とし、勤労者に対して人間に値する生存を保障すべきものとする見地に立ち、一方で、憲法二七条の定めるところによつて、勤労の権利および勤労条件を保障するとともに、他方で、憲法二八条の定めるところによつて、経済上劣位に立つ勤労者に対して実質的な自由と平等とを確保するための手段として、その団結権、団体交渉権、争議権等を保障しようとするものである。」と述べられていて、日本国憲法第28条の勤労者すなわち労働者が経済的劣位に立つことが指摘されている。その指摘からは「使用者は経済的優位に立つ」ということが導かれる。
関連項目
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