オーバーランとは、乗り物が定められた停車目標を過ぎてしまうことである。
概要
鉄道と飛行機で用いられる語であるが、それぞれで指す事象は様々な点が異なる。
鉄道の例
鉄道ではホームの長さによる制約や乗降扉や改札・階段の位置による利便性のため、駅・番線・列車編成ごとに停車位置が定められている。オーバーランはこれを許容範囲を過ぎて停車してしまうことを言う。逆に手前に停車することはアンダーランと言う。
停車位置の許容誤差は一概に定義できるものではなく(電車の教習合格ラインは±1m以内が多い)、車掌が安全と判断すれば通常通りの客扱い(ドアの開閉)が行われる。
しかし、列車の先端がホームをはみ出す、車掌の安全確認に支障を来す、ホームで大勢の乗客が整列している等の理由でそのまま客扱いができない際、後退しての停車位置修正が行われる。一般にこれが必要な場合をオーバーランと呼ぶようだ。
オーバーランが発生する理由は運転士のブレーキ操作の遅れである。しかし専門職の彼らがミスを犯すには人為的過誤以外の要因も多く、降雨等によるブレーキ力の一時的な低下(空転の項も参照)や慣れない車両の運転が挙げられる。
最近ではホームドアの導入などにより性格な停止位置での停車が求められるようになるため自動で減速して停車位置まで車輌を持っていく定位置停止装置(ていいちていしそうち、TASC:Train Automatic Stop-position Controller)と呼ばれる装置が車輌に搭載され運転士の負担が減るとともにオーバーランする頻度も更に減少した。但しTASCの不具合で停車位置がズレることも偶にあるそうだ。
電車でGO!等の鉄道シミュレーションゲームの経験がある者ならきっとわかるように、鉄道の正確かつ迅速な停車はとても難しい。もし遭遇しても落ち着いて修正完了を待てばよい、せいぜい30秒程である。間違っても運転士を睨むなどしてはいけないよ。
飛行機の例
飛行機の離着陸には滑走路の助走が必要である。これの最中に操縦士の人為的過誤等の理由で、飛行機が滑走路を飛び出して停まることをオーバーランという。
鉄道のものは沿線住民が慣れてしまうほど頻繁に起こる軽いトラブルだが、飛行機の場合は時として機体の損壊が免れない重大な航空事故の一つである。
2007年にブラジルサンパウロのコンゴーニャス空港で発生したTAM航空3054便オーバーラン事故の場合、オーバーランにより機体が滑走路を外れて空港敷地外のガソリンスタンドに突入、乗員乗客186人全員の他、地上でも13人の死者を出すという大惨事となっている。
関連動画
関連項目
オーバーランを含む項目
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