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マネジャーとリーダーはまったく別物である
合理性と統制を尊ぶのが経営の理(ことわり)である。企業目標、経営資源、組織構造、社員など、何にそのエネルギーを傾けようと、つまるところ、マネジャーは問題解決者にほかならない。「解決すべき問題は何か」「社員たちが組織に貢献し続けるうえで、最善の方法は何か」について自問自答しなければならない。
マネジャーには、天賦の才やカリスマ性は必要なく、むしろ忍耐強さ、不屈の精神、勤勉さ、高い知性、分析能力、そして最も重要なものとして、寛容さと善意が要求される。
しかし、「リーダーシップとは何か」について考える際、権力をめぐって権謀術数が繰り広げられるドラマの主人公たりうる偉人たちこそ参考になると信じられているのも、また事実である。このようなリーダーシップへの期待は、人々の働きぶりを正しく管理することがリーダーシップであるという一般的かつ現実的な概念とはあまりに対照的である。
組織にリーダーが登場する時、起業家精神の文化が生まれるが、マネジャーが求められる時、これとは異なる文化が生まれる。言い換えれば、動機、経歴、思考および行動様式などの点において、マネジャーとリーダーはまったく別の種類の人間といえる。
目標が異なる
マネジャーは目標を目の前にして、受け身とはいわないまでも、人間味に欠ける態度を示しがちである。たしかにマネジメント上の目標は、人間の欲求というよりはむしろ、仕事の必要性から生じてくるものであり、それは組織の足跡と文化に深く関連している。
リーダーは何かに反応するのではなく、むしろ能動的であり、したがってアイデアをみずから生み出す。つまり、個人的な意志の下、積極的な態度で臨む。リーダーの影響力、たとえば雰囲気を変え、人々のイメージや期待を喚起し、何らかの欲求を明らかにし、目的に向かって決断することで、企業が進むべき針路を決定する。
このような影響力の真意とは、何が望ましく、何が可能であり、そして何が必要であるかについて、人々の考え方を変えることにほかならない。
仕事観が異なる
マネジャーは、戦略を立案し、意思決定を下すため、人々とアイデアを結びつけ、問題解決を図るのが仕事であると考える。代替案の損得勘定をしたり、議論がかみ合わない時にはこれを収めたり、緊張を緩和したりする。その際、交渉して約束を交わすだけでなく、アメとムチを使い分けるなど、さまざまな手段を用いる。