私の友人であり、また、ストックホルム商科大学・欧州日本研究所の同僚でもある、小菅竜介さんが、『赤門マネジメント・レビュー』 の最新号にて、「リーン大国になりつつあるスウェーデン ― 5年の滞在から見えた実像」という記事を執筆しています。
下のリンクから御覧ください。
『赤門マネジメント・レビュー』ものづくり紀行
この記事にあるように、スウェーデンでは半ば国を挙げて「リーン」という名の「流れづくり」のアプローチを実行しようとしています。ここで興味深いのは、日本の製造業を起源とするリーンが、なぜスウェーデンのサービス業でここまで注目されるようになったのかということです。詳しくは先日紹介した記事を読んでいただきたいですが、以下5点にまとめることができます。
(1) サーブやスカニアなど、製造業でリーン生産の経験が蓄積されていた。
(2) NPOを中心として、業種をまたぐ知識移転のコミュニティが形成されている。
(3) 元々、ワークライフバランスを前提に仕事の効率を重視する国民性がある。
(4) ITの幅広い活用に見られるように、前例にとらわれずに合理性を追求する風土がある。
(5) スウェーデン流の働き方(個人主義、民主的な合意形成など)に適応するかたちでリーンが実行されている。
さらに、私が2010年に出版した「スウェーデン・パラドックス」(共著)でも書いたように、スウェーデンは高福祉と高い経済成長を両立するために、構造的に生産性向上を推進する圧力があるという背景があります。その生産性向上策の一つとして、日本の製造業を起源とするリーンが有力視されるようになってきていると捉えることができます。近年サービス業の生産性向上に力を入れる日本にとって、この事実は「灯台下暗し」かもしれません。
また、スウェーデンではワークライフバランスの確保、あるいは残業は基本的に許容しないという前提が生産性向上の取り組みを駆動しているという点にも注意が必要です。日本では、ワークライフバランス施策は少子化対策の一環として位置づけられがちで、生産性向上策とは切り離されているので、この点も政策のヒントになるかもしれません。このようなワークライフバランスと生産性の関係について、関心のある方々と、これから日本とスウェーデンの比較研究をしてみたい、という話を記事の著者である小菅さんと最近しています。
なお、下の写真にあるように、スウェーデンのサービス業ではレゴを用いたリーン研修がよく行われています。グループに分かれて、次々と入る「顧客」からの「注文」に応じて、いかに早く正確にレゴを組み立てるかを競うゲームです(右下に見えるのが完成品)。チームワークを通じてブロックと情報のスムーズな流れをつくることがポイントで、参加者が楽しみながら、肌感覚でリーンのエッセンスを学ぶ内容になっているのが面白いです。
下のリンクから御覧ください。
『赤門マネジメント・レビュー』ものづくり紀行
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この記事にあるように、スウェーデンでは半ば国を挙げて「リーン」という名の「流れづくり」のアプローチを実行しようとしています。ここで興味深いのは、日本の製造業を起源とするリーンが、なぜスウェーデンのサービス業でここまで注目されるようになったのかということです。詳しくは先日紹介した記事を読んでいただきたいですが、以下5点にまとめることができます。
(1) サーブやスカニアなど、製造業でリーン生産の経験が蓄積されていた。
(2) NPOを中心として、業種をまたぐ知識移転のコミュニティが形成されている。
(3) 元々、ワークライフバランスを前提に仕事の効率を重視する国民性がある。
(4) ITの幅広い活用に見られるように、前例にとらわれずに合理性を追求する風土がある。
(5) スウェーデン流の働き方(個人主義、民主的な合意形成など)に適応するかたちでリーンが実行されている。
さらに、私が2010年に出版した「スウェーデン・パラドックス」(共著)でも書いたように、スウェーデンは高福祉と高い経済成長を両立するために、構造的に生産性向上を推進する圧力があるという背景があります。その生産性向上策の一つとして、日本の製造業を起源とするリーンが有力視されるようになってきていると捉えることができます。近年サービス業の生産性向上に力を入れる日本にとって、この事実は「灯台下暗し」かもしれません。
また、スウェーデンではワークライフバランスの確保、あるいは残業は基本的に許容しないという前提が生産性向上の取り組みを駆動しているという点にも注意が必要です。日本では、ワークライフバランス施策は少子化対策の一環として位置づけられがちで、生産性向上策とは切り離されているので、この点も政策のヒントになるかもしれません。このようなワークライフバランスと生産性の関係について、関心のある方々と、これから日本とスウェーデンの比較研究をしてみたい、という話を記事の著者である小菅さんと最近しています。
なお、下の写真にあるように、スウェーデンのサービス業ではレゴを用いたリーン研修がよく行われています。グループに分かれて、次々と入る「顧客」からの「注文」に応じて、いかに早く正確にレゴを組み立てるかを競うゲームです(右下に見えるのが完成品)。チームワークを通じてブロックと情報のスムーズな流れをつくることがポイントで、参加者が楽しみながら、肌感覚でリーンのエッセンスを学ぶ内容になっているのが面白いです。
