昨年公開の映画「シン・ゴジラ」では、東京がゴジラの攻撃を受けたことで日本円と国債が暴落したというエピソードが出てくる。だが、現実の世界では、朝鮮半島の有事が懸念されるなかで為替は円高に進んでいる。なぜ「有事の円高」という現象が起きているのだろうか。 2011年3月の東日本大震災の際にも円高が進み、国債はあまり動かなかった。これについては伝統的な理論での説明が可能だ。東日本大震災のような国内危機では大規模復興予算が組まれる。そこで金融政策を緩和しないと、国内金利高の連想が働き、日本の実質金利が高くなるので円高になりやすい。これは、いわゆる「マンデル・フレミング」効果であり、阪神淡路大震災の時にも確認されている。 08年9月のリーマン・ショックや10年の欧州債務危機の時にも円高となった。これは、各国が金融緩和を猛烈に行ったのに対し、当時の白川方明(まさあき)総裁率いる日銀が無為無策だったためだ