クルーグマンの批判を契機に中国の為替問題がクローズアップされている。中国の為替相場が人為的に低くされているのが、流動性の罠に蝕まれている世界に取って問題であり、その為替相場を増価させれば中国の過剰輸出も収まる、というのがクルーグマンの論理である。 一方、輸出の過剰は一国の貯蓄超過の問題であり、為替による調整には限界がある、という見方も存在する(…クルーグマンはそうした考えに批判的であるが)。現在の中国の貯蓄超過の原因については諸説あるが、その中で極めてユニークなものが先月のvoxeuに掲載されていたので、以下に紹介してみる。著者はShang-Jin Weiというコロンビア大学の教授。 Weiはまず、中国の高貯蓄の原因が企業にあるという見方を否定する。というのは、企業の貯蓄率は日本や韓国に比べてむしろ低いからである。中国において他国に比べ貯蓄率が高いのは家計である。従って、何がその家計の高貯