世に「文章読本」はたくさんある。全部読んだら文章の達人になるのだろうか?あるいは、優れた小説や評論を書けるようになるのだろうか?斎藤美奈子のメッタ斬りを見てると期待できそうにないので、吉行淳之介の編んだ「文章読本」を読む。 本書には、文章読本のエッセンスがギュッと濃縮されている。ずばり「文章とは何か」「文体とは」「優れた文章を書くコツは」との問いにそのまま答えているものばかり。文筆を生業とする書き手たちの「姿勢」がよく見える。このラインナップはスゴい。 文章の上達法(谷崎潤一郎) 谷崎潤一郎の文章(伊藤整) 僕の文章道(萩原朔太郎) 「が」「そして」「しかし」(井伏鱒二) 文章を書くコツ(宇野千代) 自分の文章(中野重治) わたしの文章作法(佐多稲子) センテンスの長短(川端康成) 質疑応答(三島由紀夫) 口語文の改革(中村真一郎) 文章を書くこと(野間宏) 削ることが文章をつくる(島尾敏
「人はさびしいとおかしくなるネ」「人は自己欺瞞をかかえているとおかしくなるネ」「てゆか人がおかしくなる状況ってほとんどこの2つの複合技だよネ」なんてことを30年以上ぼんやり生きてきてなんとなく理解するに至りまして、さてそれでは自分のおかしいところをどうやってほどいていったらいいんだべ、とか思ったりしてるわけですが、たまたま手に取ったこの本の一番最後に載っていた文章を読んでたいへんな衝撃をうけました。日本語ということば (Little Selectionsあなたのための小さな物語)作者: 赤木かん子出版社/メーカー: ポプラ社発売日: 2002/05メディア: 単行本このシリーズは、赤木かん子さんがテーマに合わせて、古今東西の名文家によって描かれたいろいろな短編を選んでまとめたものです*1。わたしが最も衝撃を受けたのは、「『あまえる』ということについて」という、筆者が幼い頃の思い出を重ねて宮
世界文学の名作 脚光 18年ぶりに全集発行など 2007年05月10日 世界文学の「古典」がにわかに脚光を浴びている。河出書房新社は今秋、国内では18年ぶりとなる「世界文学全集」を出す。近年さかんに刊行され始めた古典の新訳も売れ行きが好調だ。本屋大賞が注目されたり、ライトノベル系の作家が活躍したり、親しみやすい小説が評判を呼ぶ一方で、ガツンと読み応えのある名作が復調の兆しをみせている。 河出書房新社から刊行予定の「世界文学全集」(見本) 池澤夏樹さん 世界文学全集は50年代から70年代にかけて各文芸出版社が相次ぎ発行したが、89年に同社と集英社が出して以来、途絶えていた。 河出書房新社の若森繁男社長は「(同社主催の)文芸賞を受賞した若い作家たちも、過去の名作を読みたくても手に入らないと嘆いている。今、読者は名作に向かっている」と話す。 11月から刊行される「世界文学全集」は全24巻(各25
『ムッソリーニ―ファシズム序説』 木村裕主 アマゾンで「ムッソリーニ」を検索すると、一番ヒットするのがこの木村裕主さんの著書。先日紹介したロマノ・ヴルピッタさんの『ムッソリーニ―一イタリア人の物語』が「人間ムッソリーニ」に焦点を当てていたのに対し、政治的行動を中心に当時のヨーロッパ情勢解説を交えた、直球ド真ん中の「入門書」です。 です。 面白いのは、『ムッソリーニ―一イタリア人の物語』と合わせて読むと、同じ「歴史的事実」が恐ろしく別物に見えてくることです。ヴルピッタさんの本とは対照的に批判的なスタンスから語られてるのですが(むしろそれが普通)、もう笑えるくらい正反対の評価です。「歴史的事実」なるもの(ひいては「事実」なるもの)がいかにフィクショナルで政治的な存在なのかが、戯画的なまでに鮮明になります。 「読み物」としては断然『ムッソリーニ―一イタリア人の物語』をプッシュしますが(わたしたち
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