「法の支配」より「人の支配」、「人質司法」の横行、「手続的正義」の軽視… なぜ日本人は「法」を尊重しないのか? 講談社現代新書の新刊『現代日本人の法意識』では、元エリート判事にして法学の権威である瀬木比呂志教授が、日本人の法意識にひそむ「闇」を暴きます。 本記事では、〈「同性婚カップルが子をもつことを認める? 認めない?」…日本人が知っておくべき「同性婚に関する重大な法的知識」〉にひきつづき、刑事司法をめぐる日本人の法意識について、法学にとどまらない社会・自然科学的な観点をも交えつつ、掘り下げた分析を行っていきます。 ※本記事は瀬木比呂志『現代日本人の法意識』より抜粋・編集したものです。 犯罪と刑罰 まず、犯罪と刑罰の定義から始めてみたい。 犯罪とは刑罰法規の定める構成要件に該当する違法かつ有責な行為、それに対して刑罰が科される行為であり、刑罰とは犯罪を犯した者に対して科される法的制裁で