希望格差が拡大した令和社会において、自分の成功より「推し」の成功を望む若者が急増しているという。その背景には何があるのか。「パラサイト・シングル」や「婚活」などの言葉を世に出し、近著『希望格差社会、それから』を上梓した山田昌弘氏が解説する。 平成時代を総括すると、「停滞した豊かな社会」ということができる。昭和ではあたりまえに実現できていた、男性は仕事で努力すれば評価され、男女とも結婚して子どもを持ち豊かな生活を築くという、将来への希望が持てない人たちが増えていく。平成はそのような時代であった。 ■「自分では無理」と思う人々 そして、令和になると、希望格差が固定化する傾向が強まっている。現実では努力しても、世代内でも(その人の人生の中でも)、世代間でも(子どもの世代になっても)、報われないと思う人々が増え、なかなか将来への希望が持てなくなっている。 一部の者は、停滞する中でも、自分が思い描く