文豪志賀直哉(1883~1971年)の京都時代の旧居の一つで、小説「暗夜行路」でも重要な舞台として描かれた京都市北区の住宅が近く取り壊されることが13日までに分かった。大正期の木造2階建てで老朽化が著しく、現在の所有者が解体・売却の手続きを進めている。 ■「暗夜行路」にたびたび登場 旧居は北野白梅町交差点から南西約200メートルにあり、1910年代に衣笠村(当時)に郊外型住宅として開発され、文化人が多く住んだ「衣笠園」の一角。志賀は新婚間もない15(大正4)年1月に移り住んだ。実父との確執が激しい時期で妻も神経衰弱になり、わずか4カ月余りで退居し京都を離れた。 この時期の日記は全集未収録で、詳しい暮らしぶりは分かっていない。ただ「暗夜行路」では、自らを投影させた主人公の作家時任謙作と妻直子が新婚生活をスタートさせた家として登場。「二人は衣笠村にいい新建(しんだ)ちの二階家を見つけ、其所(そ