消費者物価の高止まりが続くユーロ圏だが、その中でもドイツの物価上昇は伸びが続いている。 その背景にあるのは構造的な労働力不足と、それに伴う賃金上昇圧力の高まりだ。 ドイツの景気がさらに下振れした場合、EU経済が本格的な景気後退に陥る可能性がある。 (土田 陽介:三菱UFJリサーチ&コンサルティング・副主任研究員) 欧州中央銀行(ECB)は7月27日に定例の政策理事会を開催し、3種類ある政策金利をそれぞれ0.25%ずつ引き上げた。利上げは9会合連続であり、主要な政策金利である主要リファイナンス・オペ金利は4.25%となり、欧州連合(EU)の統一通貨ユーロが誕生(1999年1月)した直後の2000年8月以来の高水準となった(図表1)。