(立花 志音:在韓ライター) 「実は私ね、1年ぐらい歩けなかったんだけど、最近ようやく歩けるようになったのよね」 今年の春に信じられないセリフを耳にした。発言の主は、日本にいる実家の母である。 コロナが始まって以降の4年間、日本の実家に行くことはなくても、毎月のようにビデオ通話はしていた。その中で、母も父も、そのようなそぶりを見せることはなかった。 「えっ!?どういうこと?」 耳を疑うとかいうよりも、母が何を言っているのか、全く分からなかった。 去年の初め頃に腰を痛め、歩けなくなった。原因がつかめなかったけれど、今年に入ってから、きちんと傷病名が診断されて治療をしている。そういう話だった。 この話を聞いてから何カ月か、筆者は悶々とした日々を送っていた。毎日、子育てと家事に追われ、韓国の義父母の誕生日や主人の弟夫婦を交えた家族の集まりなど、主婦業と嫁業の一切を仕切っている自分の日常を振り返っ