だが、派遣部隊のお粗末な実態が明らかになりつつある。派遣兵らは北朝鮮最精鋭の第11軍団(ストーム軍団)所属の兵士たちだが、現場のロシア兵の間で混乱が広がっている。傍受された通信には、ロシア兵が北朝鮮兵を「クソったれ中国人」と呼び、指揮系統の不備に頭を抱える様子がありありと記録されていた。 さらに、北朝鮮による派兵は、金正恩体制そのものを揺るがしかねない皮肉な状況を生んでいる。すでに戦場からは18人の兵士が脱走したとされ、専門家は「外の世界の実態を知ることで、体制の嘘(北朝鮮が優れた国家だと吹聴する金正恩政権の虚構)を見抜く契機になる」と指摘する。 一方で、ロシアは北朝鮮兵1人あたり月額2000ドル(約31万円)を支払っているとされるが、その大半は金正恩政権の懐に入り、兵士の手元には「ほとんど、あるいはまったく渡らない」という歪んだ実態も明らかになってきた。 プーチン政権が抱える人的資源の不