株価はバブル後の高値を更新しても、一向に給料が上がらないのが今の日本経済の姿。世界の中でも異質な日本社会が抱える問題点を、経営コンサルタントの大前研一氏が指摘する。 * * * 日本は給料が20年も上がらず、初任給は平均20万円ほどのままで、今や欧米先進国に比べて大幅に低くなっている。世界第3位の経済大国でありながら、名目賃金は、OECD(経済協力開発機構)35か国中で19位だ(2016年/ドル換算)。しかも、2000年時点の賃金と現在を比較すると、各国が軒並み大幅に上昇しているのに対し、ただ1国、日本だけが下がっているのである。デフレだからと看過できるような話ではない。 雇用では、団塊の世代がリタイアする一方、少子化で若手の労働人口が減っているため、建設、小売り、介護といった業界では、人手不足がいっそう深刻になりつつある。それでも給料は、なかなか上がらない。中国の通信機器大手ファーウェイ