『行政マンとして図書館員が忘れていること』(樹村房)という本が刊行された。図書館は行政サービスの一環であり、公共図書館で働く人は行政の一翼を担っている――言われてみればそうなのだが、しかし、筆者はそういう視点で図書館を捉えたことがなかった。 茨城県鹿嶋市、長野県塩尻市で図書館長を務め、現在は古書店を経営する編著者の内野安彦氏は、図書館側が「行政マン」だという認識を欠いていることこそが、公共図書館が年々予算を減らされていく要因になっていると語る。どういうことなのか。内野氏に訊いた。 図書館員は今使っている「利用者」の声は拾うが、「市民」全体のことは考えていない ――「図書館員は行政マンである」という認識はなぜ乏しいのでしょうか。図書館員自身に限らず、利用者や政治家にもその認識は薄いですよね。 内野 なぜそのことを訴えるようになったのかについて、少し私自身の話をします。私は昭和54年に鹿嶋市役