御茶ノ水にあるディスクユニオンの古本コーナーで、たまたま『季刊 ジャズ批評 28号』を見つけて買ってみた。現在も続くリスナー向けのジャズ専門誌だが僕の手元にあるのは1978年1月28日に出版された古い時代のものだ。 二つある特集のひとつには「ジャズをとりまくブラック・アメリカの周辺」と書かれている。この特集の冒頭に掲載されたジャーナリストの長田衛によるコラム「「アメリカ黒人」逆差別理論の欺瞞について:本誌27号久保田二郎氏の発言にふれて」は、現代アメリカの「ジャズ」を聴いている僕にとって今の関心にぴったりハマる内容だった。 コラムは遡ること1968年4月初旬。マーティン・ルーサー・キング牧師が暗殺された直後のブラック・パンサー党本拠地として知られるカリフォルニア州オークランドに取材のため何度か訪れたことがあるという長田本人の回顧からはじまる。 白人警官に襲撃射殺されたパンサー党の若手党員ボ