子どもたちの自殺やいじめを防ぐため、LINEなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を使った相談を受け付ける自治体が急速に広がっている。朝日新聞が都道府県と政令指定市の67自治体に尋ねたところ、「既に実施」「実施予定」との答えが全体の5割にあたる34自治体に上った。自治体側は「一人で悩まず、気軽に相談してほしい」と呼びかけている。 調査は7~8月、47都道府県と20政令指定市の教育委員会などの担当部署に、主に高校生までを対象にしたSNS相談の予定や実施時期を聞いた。「既に始めた」「取り組む予定」と答えたのは福島県や和歌山県、熊本県、三重県など34自治体だった。相談には25自治体が無料通信アプリ「LINE」を使うとし、5自治体は匿名でいじめなどを通報するアプリを使うとした。 相談の実施時期や対象者は自治体によって幅があるが、その多くが夏休み中か、その前後の期間を含めていた。夏休
カジノを含む統合型リゾート(IR)実施法の成立を受け、誘致を目指す大阪府・市が独自のギャンブル依存症対策に乗り出している。国が立地区域を選定する際の重要な要素とみており、市民向けセミナーや高校での出前授業で依存症の予防・啓発を図る。同法はIRの設置申請に地元の同意を求めており、依存症患者の増加に対する市民の懸念を払拭する狙いもある。「人に言えない生きづらさを抱えている人は依存症になりやすい」。
障害者向けの就職フェアで。企業の採用方針について担当者の説明に聴き入る求職者たち=東京都中央区銀座のリクルートGINZA8ビルで2018年5月28日、宇多川はるか撮影 政府がこの春、障害者の法定雇用率(企業の社員や団体の職員に占める障害者の割合のノルマ)を2.0%から2.2%に上げ、従来の身体・知的障害に加えて精神障害を雇用率の算定対象に新たに加えた。これにより就職を目指す精神障害者に突風のような追い風が吹いている。それ自体は良いことだが、実は精神障害者の職場定着率は半分ほどだ。社会の根強い差別や偏見に加え、受け入れ企業の認識不足や態勢不備も指摘されている。国や自治体で法定雇用率の水増し疑惑が明らかになる中、障害者雇用に熱心な民間の取り組みや課題を追った。【宇多川はるか/統合デジタル取材センター】
精神病床のある全国の病院で50年以上入院する精神疾患の患者数が、2017年6月末時点で少なくとも1773人に達することが毎日新聞の調査で判明した。半世紀にわたり継続入院している患者数について公的な統計は取られていない。厚生労働省は患者の地域移行を掲げ削減を目指すが、今も病院に収容され人生の大半を過ごす人たちが数多くいる実態が明らかになった。 国立精神・神経医療研究センター(東京都小平市)が47都道府県・20政令市を通じ、民間を含め精神病床のある病院から毎年6月末時点の患者に関する情報提供を受けていることから、毎日新聞は各自治体に対し、センターに提出した資料を情報公開請求したほか、担当部署を取材。全国の精神病床を持つ病院の97・7%に相当する1588病院について、1967年6月以前に入院した患者の人数を確認した。
日本には他の先進国と比べて突出して多くの精神病床があり、専門家は「病床削減が入院長期化の抑制になる」と指摘している。 厚生労働省によると、日本の精神病床は2016年10月時点で33万4258床。経済協力開発機構(OECD)のまとめによると、人口1000人当たり2.63床で、OECDの加盟36カ国で最多だ。各国で統計の取り方が異なっているものの、2番目に多いベルギー(1.37床)の2倍近くに達している。 今回明らかになった入院期間50年以上の1773人の大半は、1950年代後半から60年代中ごろ病院に入った患者だ。橋本明・愛知県立大教授(精神医療史)は「病院増加で『収容一辺倒』の時期に入った人が長期化している」と言う。戦前は病院不足の中、精神病者監護法(1900年施行)で患者を自宅に閉じ込める私宅監置が認められていたが、50年の同法廃止と精神衛生法の施行で私宅監置が禁じられ、その後に病床数は
全国の精神病床のある病院に、1700人を超える患者が半世紀以上にわたって入院している実態が明らかになった。このうちの一人、鹿児島市の病院に55年間入る女性(80)が毎日新聞の取材に応じた。統合失調症を患い25歳で入院。両親らは亡くなり、今は身寄りもない。「退院してもおるところがない」。力なくつぶやいた。 ドアが施錠された閉鎖病棟の3階。15畳ほどの8人部屋の奥で、女性はベッドに横たわっていた。青のTシャツにカーキ色のズボン姿。窓からは光が差し込むが、外へ出られないよう金属製の囲いが設けられている。
カジノを含む統合型リゾート(IR)実施法が7月20日に通常国会で成立した。今後はカジノが整備される国内3カ所が選ばれ、2020年代半ばにも第1弾が開業する見通しだが、ギャンブル依存症対策への不安は払拭されていない。依存症から脱却を目指す患者の回復施設も少ない。依存症が疑われる成人は約70万に上るとの推計もあり、治療や相談体制づくりが急務となっている。「パチンコがやめられず借金をした。親にも『金
厚生労働省は企業などが労働者の心理的な負担を把握するストレスチェックの実施者に、歯科医師と公認心理師を追加した。従来は医師と保健師、必要な研修を修了した看護師と精神保健福祉士の4職種だった。職種を広げ、企業がストレスチェックを実施しやすい環境を整える。厚労省は今月、労働安全衛生法に基づく省令を改正した。労働者の健康管理などに関する研修を受ければ、歯
各務原市の蘇原第二小2年の福田こまちさん(7)=同市蘇原旭町=はこの夏休み、母かすみさん(31)と、小児がんや白血病などで髪の毛を失った子どもに人毛のかつらを寄付する「ヘアドネーション」に協力した。多くの人に知ってもらおうと、自分の経験を自由研究としてまとめた。 こまちさんがヘアドネーションを知ったのは、二〇一六年十月の中日新聞の記事「がんの子に私の髪あげる」で、美濃市の藤吉胡歩(こあ)さん(当時小学一年)が髪の毛を寄付した記事を読んだことがきっかけだった。「私も病気の子のために寄付しよう」と決意したこまちさん。お母さんにも一緒にやろうと声をかけた。かすみさんは「こんなに考えてるなんてすごいなと思って、一緒にやることにした」と振り返る。
死を目前にした終末期のがん患者らを精神的に支えようと、医療現場に僧侶が入る「仏教緩和ケア」が日本と台湾で注目されている。医師や看護師に代わって聖職者が患者の苦悩を和らげるケアはキリスト教に由来するホスピスで行われてきたが、日台では、自国民になじみの深い仏教精神の導入を模索。台湾はその先進地域とされ、日本の医療・宗教関係者が視察や研修に訪れているという。その視察に同行し、意義や今後の取り組みの行方を探った。(小野木康雄) 僧侶が常駐する病棟 「ありがとう。うれしいよ」。ベッドに身を横たえた台湾人の男性(86)は日本から来た僧侶の手を握り返すと、戦時中に学んだというよどみない日本語で礼を言った。 今年1月、台北市中心部にある台湾大付属病院6階の緩和ケア病棟。男性は膵臓(すいぞう)がんで余命わずかと診断されていて起き上がれなかったが、日本統治下で過ごした少年時代を懐かしんだのか、軍艦マーチや桃太
1978年に施行された法律は「バザーリア法」と呼ばれる。閉鎖病棟での強制入院が当たり前だった精神医療現場を改革したフランコ・バザーリア(1924~80)にちなむ。 バザーリア法憲法で保障された市民権に基づき、精神科の患者は自分の意思で医療を選ぶ権利があると規定。精神科病院の新設を禁止した。同年には実務を定めた別の法律も成立し、「治安維持」のための強制入院から、地域サービスによる医療に移行した。 バザーリアは「危険な存在」として隔離されてきた患者と対等に向き合わない限り病気は治らないと考えた。病院を開放し、患者の自由意思による医療を導入。精神科病院長として赴任した北部トリエステで病院の廃止を宣言した。 同法ではバザーリアの改革をもとに、患者が病院外で治療や必要なサービスを受ける仕組みが定められた。 トリエステには患者の一時宿泊用施設が4カ所ある。その一つ、海岸に近い高級ホテルに隣接する施設は
厚生労働省は9日、労働安全衛生法に基づき定められている労働安全衛生規則の一部を改正する省令を公布、施行した。ストレスチェックの実施者に厚労相が定める研修を修了した公認心理師と歯科医師を追加した。【新井哉】 ストレスチェックの実施者については、▽医師▽保健師▽厚労相が定めた研修を修了した看護師、精神保健福祉士―に限られていた。厚労省は、公認心理師法の施行などを踏まえ、一定の要件の下でストレスチェックの実施者に加えることがで...
厚生労働省は31日、2017年にトラックやバスなどの運転手を雇う事業所の8割超で長時間労働などの労働基準法違反があったと発表した。働き方改革関連法で来年4月に始まる「残業時間の罰則つき上限規制」では、自動車運転業務は適用が5年間猶予されるが、長時間労働が広く行われている実態が改めて浮き彫りになった。 全国の労働基準監督署や労働局が昨年、監督指導した計5436事業所のうち、84・0%の4564事業所で法違反が見つかった。61件は、悪質な違反だったとして送検した。 違反の中身は、長時間労働などの労働時間に関するものが最も多く58・2%。自動車運転手には、長時間労働を是正するために総拘束時間や休息期間などを定めた改善基準告示があるが、この違反も64・7%で見つかった。
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