3.29.2014 岸 政彦 第4回 物語の外から 戦争体験者の方の語りを聞いたことがある。 私の大学の学生たちが主体になって開くイベントが毎年あって、昨年度のテーマが、戦争体験を語り継ぐ、ということだった。戦争を体験された語り部の方を何人かお招きし、講演会を開催した。その講演会のあとは、壇上でそれぞれの思いを語ってもらうシンポジウムも開かれた。私は学生たちから、そのシンポの司会を依頼され、よろこんで引き受けた。会場にはたくさんの学生や教員たちが集まった。 イベントの当日、すこし早い時間に集まり、学生スタッフたちが語り部の方がたに私を引き合わせた。そのとき、短い時間だったが、語り部のひとりの男性とお話しした。かなりの高齢だったが、とてもお元気な方で、初対面の私に、控え室でお茶を飲みながら、本番の時間になるまで、たくさんのお話をしていただいた。 戦争末期、南洋の小さな島に配属され、