2016年度の税収が前年度比-0.8兆円の55.5兆円と発表され、財政再建を危ぶむ声も聞かれるが、ほとんど意味がない。地方と社会保障の収支が改善しており、政府全体では着実に進展しているからである。日本では、財政を心配する人は、奇妙にも国の財政しか気にしない。本当に国の行く末を案じているか、疑わしく思えるほどだ。世を憂う政策通らしく振る舞うためのファッションなのだろう。そんなことより、下々の賃金や消費を心配してはどうかと思う。 ……… 2016年度の名目成長率が+1.1%なのに対し、税収が-1.5%だった最大の理由は、法人税が-4.6%と、0.5兆円減の10.3兆円になったためだ。2015年度の-0.2兆円に続く減収であり、法人企業統計の経常利益が増加しているのに逆行している。両年度とも金融保険業が減益だったので、この影響かもしれない。第一生命研の星野卓也さんによれば、特別損失、M&Aに伴う