はじめに 前回の記事で、全順序が仮定されているからこそうまくいくソートアルゴリズムを半順序で使用するとどうなるかを見ました。結果としてクイックソートなら半順序でもうまくソートできることを見ましたが、本記事では、これを定理証明支援系Coqを用いて、形式的に証明していきます。 定理証明支援系Coqに関して軽く説明しておくと、プログラムが正しく動くことを、数学的に検証できるツールとして使えるものです。 クイックソートを定義 SSReflectのpathライブラリには、標準のソート関数sortが定義されていますが、このアルゴリズムはマージソートなので、前回の記事で検証したように半順序では使えません。 そこでCoqでクイックソートを定義します。 まず定義の前に、ソートを行う要素の集合Tと、半順序関係Rを宣言しておきます。実際にはTは型で、RはただのT上の二項関係T -> T -> boolとして定義