息子とさんぽしていると、でかいカマキリを発見した。たぶん天地開闢爾来、三番目くらいにおおきいカマキリだった。新種、というわけでなく在来種だとおもう。遺伝子的変異、もしくは飽食によって巨大化したものだと思われる。 それに目を注ぎ、忽然と三歳児が言った。 「父上はこの昆虫を捕縛可能か」 「可能だ」 私は言下に答えた。しかし内心では渦巻く恐怖に気おされていた。 いつからか昆虫がこわくなった。もしかしたらカマキリへの畏怖はバキというコミックスによって養われたのかもしれない。しかし昆虫ぜんぱんに恐怖を感じる。夏とかセミ超こわい。 どきどきしていた。三歳児が「では捕まえて呉れ」と言うかもしれなかった。可能不可能の問答に「可能」と答えたからには「でもちょっと今日はやめておこうか」などと言えない。そこで嘘はつけない。撞着してしまう。 では、なぜマジで怖いカマキリを捕獲できる、などと空念仏を大仰に嘯いたのか