新年を待たずに合格を決める「年内入試」が主流になり、受験生の3分の2が第1志望の大学に進む――。受験地獄といわれた入試環境が18歳人口の減少で激変し、偏差値で大学が序列化される時代が終わろうとしている。人材育成の新たな道筋が見えぬまま漂流する入試と変化を阻む岩盤の実態を追う。明治大は2026年、42年ぶりに系列校を設ける。中高一貫校の「日本学園」(東京・世田谷)だ。吉田茂元首相が出た伝統校だが
新年を待たずに合格を決める「年内入試」が主流になり、受験生の3分の2が第1志望の大学に進む――。受験地獄といわれた入試環境が18歳人口の減少で激変し、偏差値で大学が序列化される時代が終わろうとしている。人材育成の新たな道筋が見えぬまま漂流する入試と変化を阻む岩盤の実態を追う。明治大は2026年、42年ぶりに系列校を設ける。中高一貫校の「日本学園」(東京・世田谷)だ。吉田茂元首相が出た伝統校だが
日本を代表する私立大学である早稲田大学と慶應義塾大学の入試が変わりつつある。どちらも「一般・センター利用」の割合が下がり、4割強が「AO・推薦」になっているのだ。早稲田大学の鎌田薫総長は「一般とAO・推薦の比率を逆転させる」との方針も示す。なにが起きているのか――。 慶應はセンター利用入試も廃止 早稲田大学における、一般入試・センター利用入試入学者の割合は、この10年減り続けていて、2017年は56.6%だった。その代わりに増えたのがAO・推薦入試だ。入学者の比率は33.9%(2007年)から、39.5%(2017年)に増加した。 慶應義塾大学も状況は同じだ。一般入試(センター利用方式を含む)入学者は、2007年から2017年の10年間で60.8%から54.5%に減っている。一方で、AO・推薦入試入学者の比率は、14.9%(2007年)から18.7%(2017年)に増えた。また、慶應は20
政府の教育再生実行会議(座長、鎌田薫・早稲田大総長)が、国公立大入試の2次の学力試験を廃止し、面接など「人物評価」を重視することを検討していると伝えられている。 これについて、筆者のまわりの大学関係者では侃々諤々の議論があるが、圧倒的に批判が多い。その理由を今回は取り上げよう。 「言うは易く行うは難し」の人物評価 まず、教育再生実行会議のメンバーである。教育学の専門家がいない。前の教育再生会議でも指摘されていたが、教育関係者は若干いるが、専門家はいない。専門家とは、少なくとも文献を読んでいて、海外の事情などに詳しく、統計データで客観的に分析でき人たちだ。 教育は誰でも語れるため、下手をすると井戸端会議みたいになる。誰でも教育を受けた経験はあるので、そうしたややもすると偏った経験に基づき、一般論が飛躍した論理で語られることが多い。 一方、大学の教員は、研究と教育に従事している。人によって、両
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