→紀伊國屋書店で購入 まず、訳者加藤剛はじめ、著者アンダーソンのコーネル大学での日本人の教え子たちに感謝したい。著者自身が「必ずしも積極的でなかった」本書の執筆を引き受けた背景には、「本書を日本の若い人-研究者を志し大学や大学院で勉強している人、教職・研究職にある若い大学人のために書いてほしい」という編集者のことばに、かつて自身が指導した日本人学生の姿があったからだろう。日本語出版のためだけに書かれ、イギリス語での出版予定のない本書を読む幸運に恵まれたことに感謝したい。 『想像の共同体』で知られる著者は、本書の主題として「私の幸運」を考えた。本書を読むと、たしかに幸運だったことがわかるが、それを幸運だと思うこと自体、著者の能力だろう。著者自身も、最後のほうで、たんなる幸運だけではないことをつぎのように説明している。「幸運は、学問の場においても日常生活においても、説明することができない。これ