2500億ドル(約39兆円)──これは気象予測会社AccuWeather(アキュウェザー)が推計した、ロサンゼルスで今も猛威を振るっている山火事の被害額だ。この推計が正確であれば、昨年のハリケーン「ヘリーン」、さらには2020年に全米各地で相次いだ大規模な山火事の総被害額をも上回ることになる。 今回の山火事で、一部メディアは消火用水の枯渇を州知事らの失策として非難している。しかし今は政敵叩きで満足している場合ではない。知っておかなければならないのは、この街のインフラが「通常」の気候に耐えうるように建設されたものであることだ。そして、その「通常」は気候変動によって二度と戻らなくなってしまった。 ロサンゼルスの主要インフラは20世紀半ば、当時の災害・気象予測を基準に建設された。なお、ロサンゼルス水道電力局の元主任技師はニューヨーク・タイムズ紙に、丘陵地帯の貯水システムは数百軒の火災ではなく、数