グリーンランド北西部の小さな島にある町ウマナック。冷戦時代の軍事基地から現在の北極を巡る各国の野心に至るまで、グリーンランドの戦略的な位置と豊富な地下資源は世界の注目を集め続けている。(PHOTOGRAPH BY CIRIL JAZBEC) 米国は冷戦時代をピークに100年以上にわたり繰り返しグリーンランドに食指を動かしてきた。狙いは豊富な地下資源と、その戦略的な位置だ。しかし、グリーンランドの指導者たちはこうした野心を常に拒んできた。なぜこれほどまでにグリーンランドは狙われるのか、領土購入の試みや軍事基地を巡る交渉の歴史からひも解いていこう。 米国がグリーンランドに初めて関心を持ったのはいつ? 米国が世界最大の島であるグリーンランドに関心を持ち始めたのは19世紀の後半。1867年に720万ドルでロシアからアラスカを購入した当時の国務長官ウィリアム・H・スワードが、領土拡大のための次の候補