『イカ天』やそれに類似するムーブメントなどについて3回の連載で紹介する本連載。第2回は、『けいおん!』『ぼっち・ざ・ろっく!』から『ふつうの軽音部』までを題材に2000年代以降のバンドブームについて考察する。 ※本連載に大幅加筆を加えた『イカ天とバンドブーム論(仮)』(DU BOOKS)より2025年2月に刊行予定。 アニメ『けいおん!』はカッコよさと簡単さの共存で「自分も弾いてみたい」と思わせた 筆者がフィクショナルな理想のバンドの筆頭として挙げたいのが、アニメ『けいおん!』の劇中バンド・放課後ティータイムである。アニメの舞台は女子校の軽音学部。バンドの練習や演奏シーンは殆ど登場せず、放課後に紅茶を飲みながらたわいもないおしゃべりに興じる女子たちの友情が作品の主軸を成している。ドラマティックな展開はほぼ存在せず、部室での無邪気な日常が延々と繰り返される。その作風は「日常系」「空気系」など