フィレンツェ、ヴェネツィア、ジェノヴァ、ピサ、ミラノ――地中海貿易によって膨大な富を蓄積し、やがてルネサンス文化が花開く中世イタリアの諸都市はどのようにして生まれ、どのような政治体制を築いたのか?テーマごとにコンパクトなサイズで概説した山川出版社の世界史リブレットシリーズの一冊として、「イタリアの中世都市」について主にフィレンツェ、ヴェネツィア、ジェノヴァを中心に重要論点がわかりやすくまとまっている。 イタリア半島では西ローマ帝国の崩壊後、ゲルマン人の侵攻による諸王国の林立を経て、東ローマ(ビザンツ)帝国、フランク帝国などの強力な王権による支配体制が確立したものの、十世紀頃までにその支配も相次いで衰退していった。イタリア南部ではノルマン人による王権(ナポリ王国)が成立した一方、中北部イタリアでは上級権力の不在によって各都市が自治組織(コムーネ)を結成して自立していった。 面白いのはコムーネ