●『境界の彼方』についてもうちょっと。 秋人は、(性的な嗜好として)「メガネ美少女が好き」なのか、「メガネ美少女だから(メガネ美少女の一人として)未来が好き」なのか、あるいはただ(他ならぬ)「未来」が好きなのか。勿論、そのすべてだろうと思う。秋人の未来に対する「感情−関係の仕方」は複数の層に分裂しつつ重なっていて、分裂した層の上を場面ごとに行ったり来たりしている。どの層が表面化しているのかは、その時々によって異なる。秋人が新堂写真館から未来のコスプレ写真を買うのは、それが「メガネ美少女のコスプレ写真(嗜好性)」だからだし、「メガネをかけている未来のコスプレ写真(タイプ/トークン)」だからでもあるし、たんに「未来の写真(固有性)」だからでもある。あるいは、秋人が、「要するにメガネが大好きです」と言う時、「メガネ」が好きだと言っているのか、「メガネ美少女である未来」が好きだといっているのか、た