全国的な問題として論じられるようになった、登山道の荒廃。そんななか、登山道だけではなく、広く山の生態に目を向けた整備法が注目を集めている。登山道はいかに修復すべきか、そして私たち登山者はどう山と向き合えばよいのか。近自然工法による登山道整備講習に触れながら、考えました。 軽トラックの荷台には、前日、近隣から集めたという大ぶりの丸太がごろごろり。長さ2mほどの丸太はゆうに40kgを超えるだろうか。これからこの丸太を現場まで運ぶのだが、その偉容に一同がためらいを見せた。すると、彼は使いこんだ背負子に丸太を結わえる。昔ながらの太いスリングを使うのは、細いダイニーマ製では身体に食いこんでしまうからだとにっこり笑い、背負子をひょい。そのあまりの軽やかさに驚き、背負わせてもらうと、背骨がきしみ、足がふらついた。重さはもちろん、ザックとは異なる丸太の長さが、足元の安定感をひどく損ねた。聞けば、地元の大雪