「五十音」の実際の数は、五十ではありません。どうしてですか。また、いつどうやってできたのですか。 ※ この記事の初出は『新「ことば」シリーズ』14号(2001、国立国語研究所)です。当時の雰囲気を感じられる「ことばのタイムカプセル」として、若干の修正を加えた上で公開します。 現代の五十音図は、『五十音図』風の仮名表・ローマ字表 小学校低学年でひらがなやカタカナを、さらに中学年でローマ字を習う際、縦横にアイウエオをならべた表が出てきます。一般には、この表を「五十音図」、そこにならんだ文字を「五十音」と呼ぶことが多いと思われます。その表や文字をみると、縦にならんだ五つの母音の段と、子音の別で横にならんだ合計十の行が、整然と配置されているように見えます。しかし、このアイウエオはちょうど五十個示されているかというと、実は空白になっていたり同じ文字が重複していたり、さらに最後に「ん」の文字が一つだけ