この数年のあいだで、英国の書店に入ったことがある人は気づいたはずだ。日本の小説が空前のブームであることに──。 日本の小説は、2022年の英国における翻訳小説すべての売上高の25%を占めたことが書籍売り上げデータサービス「ニールセン・ブックスキャン」の数字からわかっている。 その優勢は2024年、さらに目立っている。ガーディアンが入手した数字によれば、2024年の翻訳小説売り上げトップ40作品の43%が日本の小説だ。その第1位を飾ったのも、柚木麻子による、風刺的で社会意識の高い犯罪小説『Butter』(原題も『BUTTER』)だった。 『Butter』は2024年の「Books Are My Bag」読者賞のブレイクスルー作家賞も受賞した。この読者賞は書店が選書し、消費者が投票して決められる。 英国での現代日本小説の人気ぶりは、もちろん新しい現象ではない。しかし、英国で多種多様な日本人作家
PDFファイル カレントアウェアネス No.361 2024年9月20日 CA2071 動向レビュー 学校・学校図書館における読書活動―2011年から2024年まで― 新潟大学:足立幸子(あだちさちこ) 1. 本稿の目的と対象期間・概要 本稿の目的は、桑田てるみが2000年代の学校・学校図書館をめぐる読書活動についてレビューした、カレントアウェアネス「動向レビュー:学校・学校図書館を取り巻く新しい読書活動-集団的・戦略的読書の視点から-」(2011年)(CA1752参照)後の10年間あまりの学校・学校図書館における読書活動の推移・動向をレビューすることである。対象期間は2011年から2024年とする。 まず、この期間に学校において影響を与えた教育政策について述べる。次に、読書活動を、個人的・紹介系読書活動、集団的・交流系読書活動の2種類に整理して示す(1)。個人的・紹介系読書活動とは、一人
CA2069 – 動向レビュー:ニューロダイバーシティと図書館サービス―自閉スペクトラム症者の包摂と展望― / 下山佳那子 PDFファイル カレントアウェアネス No.361 2024年9月20日 CA2070 動向レビュー ラーニングコモンズの評価方法を考える 関西大学教育推進部:岩﨑千晶(いわさきちあき) 1. ラーニングコモンズの評価方法を考える際の前提 評価をする際は、その評価が誰の、何のためのものであるのかを考える必要がある。ラーニングコモンズ(LC)の場合は、学習者の協働的で、自律的な学びを支える目的で設置されることが多い。そのため本稿では、LCの評価の方法は「学習者の学びをより深める、より学べるようにする」という、学習者の学習活動の改善につながるという立場で評価方法を考える。形式的に決まった項目を確認するだけにとどまり「評価を行っているが、学習の改善につながらない」という評価
CA2069 – 動向レビュー:ニューロダイバーシティと図書館サービス―自閉スペクトラム症者の包摂と展望― / 下山佳那子 新しい「国立国会図書館サーチ」への統合に至る道のり 電子情報部電子情報サービス課:川島隆徳(かわしまたかのり) 2024年1月5日、国立国会図書館は統合的な検索サービスである「国立国会図書館サーチ」(1)(NDLサーチ)を公開した。本稿では、主にシステム面に着目し、開発の背景と実装について述べたい。 1. NDLサーチの概要 NDLサーチは、当館の蔵書目録「国立国会図書館オンライン」(NDLオンライン;CA1940参照)と全国の図書館の総合目録機能を持つ「国立国会図書館サーチ」(旧NDLサーチ;CA1762参照)、さらに調べ方を案内するリサーチ・ナビを統合した検索サービスである。これにより、当館資料の蔵書検索、全国の図書館等資料の横断検索、当館提供書誌のダウンロードや
CA2066 – 市町村と県による協働電子図書館「デジとしょ信州」のこれまでとこれから / 森いづみ, 鈴木康之, 奈良澤一恵, 棟田聖子, 平中和司, 文平玲子 デジタル・シティズンシップを担う公共図書館 国際大学GLOCOM主幹研究員/准教授:豊福晋平(とよふくしんぺい) 1. はじめに 2022年11月、筆者は図書館総合展2022にて「デジタル時代のシティズンシップを支えるのは誰か?」(1)というタイトルで講演を行ったところ、図書館関係者から思いのほか大きな反響をいただくこととなった。本稿ではその講演内容を背景として、そもそもデジタル・シティズンシップとは何か、公共図書館に注目するのはなぜか、そして我が国における展望について解説する。 我が国の教育情報化・ICTの教育的な利活用は国際的に見ても長らく底辺レベルにあった(2)のだが、就学児童生徒を対象とした学習者1人1台情報端末整備を主
CA2064 – 動向レビュー:国内の大学における電子ジャーナルの転換契約をめぐる動向 / 小陳左和子, 山崎裕子 横浜国立大学附属図書館ビジョンを策定して―大学図書館機能の再定義作業― 横浜国立大学名誉教授/前附属図書館長:大原一興(おおはらかずおき) 1.はじめに 策定の背景 横浜国立大学においては、附属図書館運営委員会による「横浜国立大学附属図書館ビジョン」(1)(以下「ビジョン」)が2022年3月に策定されてから、およそ2年が経過した。2023年1月に「オープンサイエンス時代における大学図書館の在り方について(審議のまとめ)」(2)が出されてから、全国で大学図書館の機能を再定義しつつある昨今だが、そもそもこの時期になぜ「ビジョン」を策定し、それがどのような意味を持ちいかに効果を発揮し、また今後どうなるかについて、他大や他館からも関心を持たれているようでもあり(3)、現時点での整理を
3つの情報リテラシー概念に関する検討:各分野における背景と問題意識に着目して 徳島大学高等教育研究センター:飯尾健(いいおけん) 1. はじめに 現在、フェイクニュースや炎上にいかに対処するかは大きな課題となっており、その対策となる情報リテラシーとその育成の重要性は様々な学問分野から提言されている。 現在提言されている情報リテラシーの概念には、ある程度共通性が見られる。すなわち、これまでの情報リテラシーに見られたような情報探索や活用の面に加えて、情報を適切に評価し、共有・発信し、あるいは創造する面を強調している点である。したがって、現在における情報リテラシーの概念的検討に際しては、それぞれの情報リテラシー概念間の差異よりも、どのような背景や問題意識から検討された結果、このような内容が導出されたかを考えることが要点となるであろう。 そこで本論では、とくに情報リテラシーについて現在積極的な取り
図書館における「音」をどう包含するか 愛知工業大学工学部建築学科:中井孝幸(なかいたかゆき) 1. はじめに 近年、全国の様々な地域で、図書館整備が進められており、日本図書館協会が2018年から2021年に行った図書館施設調査の報告(1)によると、複合施設が約81%となり、地域に限らず新しく計画や整備が進む図書館は、複合施設の占める割合が高くなっている。今後は施設機能が融合した図書館の計画も進み、施設機能とのつながり方について、また図書館単独での計画においても、最も重要となってくるのは、「音」への配慮だと考えられる。快いと感じるか、不快と感じるかは、人によって、あるいは同じ人であっても、その時の状況によっても大きく変化する。 1990年代から現在(2024年3月)まで、私たちの研究室では、全国の公共図書館で重複も含めると約70館程度、全来館者を対象にしたアンケート調査や行動観察調査などを行
「今回の戒厳令宣布は実質的に上からのクーデター、大統領自身によるクーデターだと見なしていいと思います」 ユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領による「非常戒厳」の発表について、こう話すのは韓国政治に詳しい神戸大学の木村幹教授です。 1987年の民主化後、初めてとなる「戒厳令」はなぜ出されたのか。ユン大統領は今後、どうなるのか。改善が進んだ日韓関係は?木村教授に詳しく聞きました。 (国際部記者 吉塚美然) ※以下、木村教授の話(インタビューは12月4日に行いました) 韓国の関係者から連絡をもらって(戒厳令の発表を)知ったのですが、正直言って「うそだろ?」というのが率直な感想でした。 1970年代や80年代初頭ならともかく、それから40年以上もたった現在において、大統領が戒厳令を宣布するということが本当にありうるのか、夢でも見てるのではないかと思いました。 韓国の大統領が持っている戒厳令を出す権利と
3日夜、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は「非常戒厳」いわゆる戒厳令の発出を宣言した。これに対し、与党を含む国会議員や多くの市民が反発。国会が解除決議を行い、大統領が閣議を通じて戒厳令を解除した。 発出から解除を求める採決までわずか3時間。しかも、国会に議員や市民らがつめかけて軍隊との間に激しいやりとりがあったにもかかわらず、1人の死者も出さずに収束した。 しかし、隣国での大事件であるにもかかわらず、BBCやCNNなどの外国メディアと比べ、日本語メディアの扱いは小さく情報量が不足している。また、背景事情も分かりにくい。韓国をはじめ諸外国の統治機構にも知見のある杉山大介弁護士は、今回の事件が「日本の民主主義の教科書」になるものだと指摘する。(本文:弁護士・杉山大介) 隣国の「あっという間の話」 で片づけてはならない 韓国大統領による「戒厳令の発令」は、翌早朝の時点では収束を迎えていたこ
「今年の新語 2024」の選考結果 たくさんのご応募ありがとうございました。 辞書の三省堂が選ぶ「今年の新語 2024」。 今回の応募総数は延べ1,813通、異なり958語となりました。 たくさんのご応募をくださり、誠にありがとうございました。 一語一語、選考委員が厳正に審査し、「今年の新語 2024」ベスト10を選定しました。 以下に「今年の新語 2024」ベスト10を発表いたします。ベスト10に選ばれた新語には、三省堂の辞書を編む人が「国語辞典風味」の語釈(語の解釈・説明)をつけました。 今後の辞書に掲載されてもおかしくない「今年の新語 2024」の切り口と面白さをお楽しみください。 2位 横転 『三省堂国語辞典』飯間浩明先生 おう てん━[横転]⦅名・自サ⦆①左または右のほうへ回転すること。②よこに たおれること。「―事故」③〔俗〕思わず ずっこける(ほど おどろく)こと。「点数 低
kobefs@パソコンの人 @kobefs わりとみんな、微妙に壊れるWindows使ってるのだ。 妙に遅いWindowsは、ほぼシステムファイルが壊れてて、修復すると早くなるのだ。 SSDが寿命でも、HDDに不良セクターあっても、症状はほぼ一緒 smartに現れない故障はあるのよ。 2024-11-27 21:33:00 kobefs@パソコンの人 @kobefs Windowsを綺麗な状態に保つのはなかなか難しい。 スパイウェアやウィルスが仕込まれたアプリやフリーウェアをお気軽に入れてしまえるからね。そんなの全部捨てる事。 Windows10/11には不要ファイルをクリーンアップする機能が標準であるから、余計なアプリは入れなくて良いよ。 support.microsoft.com/ja-jp/windows/… 2024-11-29 10:51:48
2025年3月末をもって主要な燻蒸ガスの一つである「エキヒュームS」の販売が中止を迎える。 資料保存における生物被害対策では、大規模な虫菌害が発生した際にガス燻蒸処理によって一度被害を初期化する対策が行われてきた。 あるいは受入資料からの虫やカビの持ち込みを防ぐためや、災害時の被災した資料を対象としたガス燻蒸も行われている。 温暖湿潤であり生物被害のリスクが高い日本の資料保存においては欠かすことができない対策方法の一つである。 「エキヒュームS」の販売中止を機にこれまでの資料保存をとらえなおし、今後の持続可能な新しい資料保存の在り方について考える。
2020年代前半のイギリスでは「日本の小説」が空前のブームとなっており、2022年にはイギリスにおける翻訳小説の売上の25%を日本小説が占め、2024年には翻訳小説の売上ランキングトップ40冊のうち40%超が日本小説でした。イギリスで日本小説がブームになっている理由や、イギリスで人気の日本小説にみられる特徴について、イギリスの日刊紙であるThe Guardianがまとめています。 Surrealism, cafes and lots (and lots) of cats: why Japanese fiction is booming | Fiction in translation | The Guardian https://www.theguardian.com/books/2024/nov/23/japanese-fiction-britain-translation The Gu
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