新刊の続きとして 市民社会論の再生: ポスト戦後日本の労働・教育研究 作者:稲葉 振一郎 春秋社 Amazon =================== 1990年代の劈頭を飾った東京大学社会科学研究所の全体研究は『現代日本社会』(報告書は東京大学出版会刊)であり、第一巻の序論に明示されるように、その主導アイディアは当時の現代日本を「会社主義」というキーワードで形容するものであった。このキーコンセプトとしての「会社主義」は基本的に宇野派のマルクス経済学者馬場宏二と、民主科学者協会法律部会の憲法学者渡辺治の合作である。 馬場宏二の「会社主義」概念は、彼と盟友であった財政学者加藤榮一が、師たる大内力の国家独占資本主義論を踏まえてともどもに形成しつつあった現代資本主義論を、主として労働経済学者小池和男の日本的労使関係論と、弟子の橋本寿朗の日本重化学工業論を念頭に置きつつ適用したものである。それは2