作家の町田康さんが初の歌集「くるぶし」(COTOGOTOBOOKS)を刊行した。青地に緑の箔(はく)でタイトル、著者名が大きくデザインされたギラギラとした装丁。飛び込んでくる最初の章タイトルは「ボンジョビ」。まだ一首も読んでいないのに、やられた、という気持ちになる。狂った節という意味も込めたタイトルを体現する歌集だ。 パンク魂 浴びてきた言葉を352首に 「あんまり人に言ってこなかった気持ちがむき出しになっている。日記が公開されたような感じです」と町田さんは話す。収録したのは、2022年夏~23年夏にかけて作った352首だ。歌を思いついたらスマホにメモし、SNSにあげていた。「メモしていると脳がモードに入る。短歌ばかり湧いてきてうるさかった」。元は倍の600首ほどあったなかから、収録作を選んだ。 「日常のなかから生まれてくるから、歌には料理がよく出てきます」 《圧迫を感じる朝は月見そば器の