破滅の足音 年が明けた2006年。堀江は盟友の藤田晋を誘ってラスベガスに旅行に向かった。ともにインターネット産業の黎明期からここまで駆け抜けてきた二人だが、プライベートで一緒に旅行するのは、これが初めてだったという。 ラスベガスと言えばカジノの街である。カジノの街というより、街のような巨大なカジノが、いくつも連なっていると言った方が正確かもしれない。もともとは砂漠の中にある小さなオアシスだったが19世紀中ごろにゴールドラッシュに沸く西海岸に向かう中継地点として人が増え始めた。1929年にニューヨークでの株価暴落に端を発する世界恐慌が起きると、手っ取り早く金を稼ぎたい者が増えて賭博が合法化されたという。 堀江と藤田も当然のようにカジノに向かった。どのカジノにもあるのがブラックジャックのテーブルだ。マジシャンのような慣れた手つきでディーラーがカードを配り、プラスチック製のコインを奪い合う。 テ
