継承された「糸川精神」 新型の国産ロケット「イプシロン」の初号機が8~9月、鹿児島県肝付(きもつき)町の内之浦宇宙空間観測所で打ち上げられる。日本が独自に開発を重ねてきた固体燃料ロケットの系譜を継ぐ小型機で、国産ロケットの新顔は大型主力機のH2A以来、12年ぶり。効率性を重視した画期的な設計思想は、ロケット開発の新時代の象徴として注目されそうだ。(草下健夫)◇ 「これまでのロケット開発は性能向上の一点張りだった。だが、50年後のロケットは今の飛行機のように頻繁に打ち上げられ、宇宙が身近になるだろう。将来に向け、シンプルな打ち上げを目指した」 開発を率いる宇宙航空研究開発機構(JAXA)の森田泰弘教授は、イプシロンの“未来志向”を強調する。 イプシロンは、旧文部省宇宙科学研究所が科学衛星用に開発したミュー(M)5の後継機。M5は固体燃料ロケットとして世界最高水準の性能を誇ったが、75億円にの