僕は神奈川県の海と山に挟まれた小さな街で暮らしている。僕が通っていた小学校では、「おどうぐばこ」と呼ばれるロッカーに入れて使う大きな箱を各自持たされていた。夏休み前にはそれを持って帰る。苦行だった。「おどうぐばこ」に、机の引き出しとその中身、絵具やピアニカといった道具を全部入れるのでめちゃくちゃ重いのだ。小学2年の夏休み前。もう40年以上昔(1981年)になるが、僕は同級生で仲の良い栄ちゃんと一学期最後の日、クソ重い「おどうぐばこ」を持って一緒に帰った。とても暑い日だった。太陽の光が強すぎて太陽がどこにあるかもわからないくらいだ。木や建物の影を選んで僕らは歩いた。「おどうぐばこ」を運んでいると重さで手がパンパンになってしまうから休む必要があった。夏休みに入るからという理由で、いつもとは違う道で帰ることになった。 小さな神社で休憩をした。神社は階段の上にあった。信心も賽銭もないので入口の鳥居
