先週、ジェフが清水のカルリーニョスを獲得したと発表しました。
開幕後というタイミングも含めて、驚きのニュースだったと思います。
ブラジル人アタッカーのカルリーニョスは母国でキャリアをスタートし、2017年からスイス1部のルガーノへ移籍。
2017-2018シーズンは29試合出場10ゴール、2018-2019シーズンも31試合出場13ゴールと活躍します。
そして、2020年から当時J1の清水へ移籍。
その年から29試合に出場し10ゴールと活躍しますが、2021年からは怪我も続いて出場数もゴール数も落ち込み、2022年にはチームもJ2へ降格してしまいます。
しかし、記憶にも新しい2023年は、J2で36試合に出場し15ゴールとチームを牽引。
昨年も32試合に出場して5ゴールと、J1復帰に貢献しています。
今年もカルリーニョスの去就はなかなか発表が行われず、清水の新体制発表会でも「現在も交渉中」と反町GMが説明していました。
そのため、母国を含む日本国外への移籍を検討しているのかなと思ったのですが、今回のジェフ加入時のコメントでは「日本での歩みを続けられる」と前向きに話しています。
これを真に受けていいのかはわかりませんが、少なくとも本人は日本でのプレーを望んでいて、契約問題で揉めていたということなのでしょうか。
長らく交渉していたことからも、清水はJ1でも戦力として期待していたのでしょう。
一方、ジェフは新体制発表会で、島田社長が「古河電工の思い切ったスポンサード」があったと話していますが、その割にはあまり目立った補強はないようにも見えていました。
しかし、その後、スアレス、カルリーニョスと外国籍選手を補強したことを見るに、まだ強化費を残していたということでしょうか。
もっとも、カルリーニョスも昨年終盤はスタメンを外れる機会が増えるなど、前年から出場機会が減っていました。
それに加えて、今季開幕前の清水はマテウス・ブエノ、カピシャーバ、アフメドフなど、多くの新外国籍選手を補強したことも影響したのかもしれません。
交渉の詳細はわかりませんが、清水に5年も在籍してそろそろ環境を変えたかったといったところもあったのでしょうか。
改めて、カルリーニョスのプレースタイルを振り返ると、非常に足技に優れたアタッカーで、縦への推進力やキープ力もある選手といったイメージです。
特に相手が前から寄せてきても、すっとボールを動かして交わすドリブルが印象的で、清水ではカウンターの起点となっていました。
質の高いクロスなども期待できる、総合能力の高い選手だと思います。
右利きながら左SHがメインで、逆足とキープ力を生かして、少し中に入ってプレーする動きが多い印象です。
ただし、前線でもプレーできる器用さもあり、足元でのシュートだけではなく、174cmながらヘディングシュートもうまく得点力も期待できる。
さらに、プレスをベースとして戦うジェフとしては、守備面での貢献度も非常に高いことが重要なポイントではないかと思います。
ジェフは昨年から右SHだけではなく、左SHもワイドに張るシステムを採用してきました。
今年もそれを継続して、椿だけでなく同タイプの吉田を補強した一方で、ゴール前へ飛び込めるドゥドゥや中盤もこなせる高木などは退団となっています。
しかし、カルリーニョスはサイドに張るタイプではないということになるわけですが、このレベルの選手が獲れるのであれば左右がワイドに張る戦い方を捨ててでも、補強したいということになったのでしょうか。
もちろん、前線で起用する可能性もあり得なくはないのでしょうが、現状だとCFとFW兼インサイドの候補には林、石川、デリキ、横山、呉屋など多くの選手が在籍しています。
基本的にジェフの前線はオフザボールで裏へ走り込む、クロスにあわせて飛び込むといったタスクがメインで、ボールをもって仕掛けるのはSHの役割とある程度分業化されています。
スクランブルでの前線起用などはあり得るのでしょうが、カルリーニョスは仕掛けの部分に強みがあるタイプだと思うだけに、まずは左SHが有力なのではないかと思います。
個人的なイメージでいえば、カルリーニョスは2024年よりも、2023年の方が持ち味が出せていたように思います。
2023年の清水は秋葉監督が4月にコーチから昇格し、まずはカウンターでチームのベースを作り上げていった印象です。
その中で1人でボールを持ち上がれて相手をかわせてゴールまで狙えるカルリーニョスは、カウンターの軸として大活躍を遂げていきました。
しかし、2024年の清水は秋葉監督2年目で、よりしっかりとパスを回すようになったように見えました。
そうなってくると、カルリーニョスは若干持ち味を出しにくくなって、立場が難しくなっていったのかなと思います。
そして、結果的に個人の数字面でも、伸び悩んでしまったことになります。
ジェフの小林監督は今季新体制発表会でよりバランスを重視して戦うことも話していましたし、昨年は前年ほどのカウンターのキレがなかったようにも思います。
さらに小森という得点源も失ってしまいましたし、ロングカウンターの起点としてカルリーニョスに期待したいということなのかもしれません。
また、第2節富山戦後に小林監督が今季は選手を入れ替えて戦うことを示唆していますが、2列目は選手層が薄かったですから、そういった意味でも重要な補強なのだと思います。
ただ、現在の左SH椿は好調ですし、先日の山形戦でも見事な活躍を見せています。
椿の方が本来小林監督が好むサイドを縦に仕掛けられるアタッカーなのではないかと思いますし、カルリーニョスのポジションも確約されているわけではないかもしれません。
また、ジェフは昨年も磐田をJ1昇格に導いた、エドゥアルドを補強しています。
奇しくも前所属チームでは同じ左SHで活躍した選手ですが、昨年のエドゥアルドは怪我もあったとはいえ、磐田ほどチームにはまり切っていなかった印象もあります。
カルリーニョスももちろん良い選手であることは間違いないですが、チームとしてうまく選手を活かせるかが何よりも大事だと思いますし、どのように現チームに馴染ませていくのかが注目ではないでしょうか。