7/3付記事
ここから幾つか引用してみます。風疹は先月23日までの1週間に全国で新たにおよそ500人の患者が報告され、700人近いペースで増えていた5月下旬より減ったものの依然、患者数の多い状態が続いています。
この部分のソースは国立感染症研究所の風疹発生動向調査の2013年第25週ですが、とりあえず今年の週ごとの患者数のグラフを引用しておくと、
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700人近いペースで増えていた5月下旬
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1週間に全国で新たにおよそ500人の患者が報告され
週 | 21週時点報告 | 25週時点報告 |
20 | 762人 | 818人 |
21 | 673人 | 844人 |
現時点で25週の報告数は504人ですが、今後の集計で「700人近く」になる可能性はあると存じます。それとこの記事を読んだだけでは700人と言われても、500人と言われても、どう多いか少ないかがハッキリしません。風疹の全数調査は2008年から始まっており2008〜2011年の4年間の全報告数を合計して897人です。4年間の合計数並みが1週間に発生している訳であり、この状態を、
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患者数の多い状態が続いています
7/3付
この記事で注目しておきたいのは、-
風疹については、最も抗体を持つ人が少ないとされる20〜40代の男性でも8割の人が既に抗体を持っている。
年齢 | HI 32倍以上 | HI 16倍以上 | HI 8倍以上 | |||
保有者 | 保有率 | 保有者 | 保有率 | 保有者 | 保有率 | |
20 | 13 | 92.9 | 14 | 100.0 | 14 | 100.0 |
21 | 13 | 81.3 | 14 | 87.5 | 15 | 93.8 |
22 | 13 | 48.1 | 18 | 66.7 | 20 | 74.1 |
23 | 32 | 71.1 | 38 | 84.4 | 40 | 88.9 |
24 | 39 | 73.6 | 44 | 83.0 | 45 | 84.9 |
25 | 44 | 84.6 | 49 | 94.2 | 50 | 96.2 |
26 | 31 | 79.5 | 33 | 84.6 | 34 | 87.2 |
27 | 41 | 83.7 | 45 | 91.8 | 45 | 91.8 |
28 | 34 | 87.2 | 38 | 97.4 | 38 | 97.4 |
29 | 36 | 92.3 | 36 | 92.3 | 36 | 92.3 |
30 | 40 | 88.9 | 42 | 93.3 | 42 | 93.3 |
31 | 36 | 80.0 | 39 | 86.7 | 39 | 86.7 |
32 | 40 | 80.0 | 40 | 80.0 | 41 | 82.0 |
33 | 39 | 75.0 | 40 | 76.9 | 41 | 78.8 |
34 | 32 | 80.0 | 33 | 82.5 | 33 | 82.5 |
35 | 35 | 76.1 | 35 | 76.1 | 35 | 76.1 |
36 | 28 | 68.3 | 28 | 68.3 | 28 | 68.3 |
37 | 26 | 57.8 | 28 | 62.2 | 30 | 66.7 |
38 | 33 | 71.7 | 36 | 78.3 | 36 | 78.3 |
39 | 28 | 71.8 | 29 | 74.4 | 29 | 74.4 |
40 | 21 | 77.8 | 22 | 81.5 | 23 | 85.2 |
41 | 25 | 83.3 | 25 | 83.3 | 25 | 83.3 |
42 | 26 | 86.7 | 26 | 86.7 | 26 | 86.7 |
43 | 19 | 82.6 | 19 | 82.6 | 20 | 87.0 |
44 | 27 | 84.4 | 27 | 84.4 | 28 | 87.5 |
45 | 22 | 95.7 | 22 | 95.7 | 22 | 95.7 |
46 | 12 | 75.0 | 12 | 75.0 | 12 | 75.0 |
47 | 20 | 71.4 | 21 | 75.0 | 21 | 75.0 |
48 | 18 | 72.0 | 18 | 72.0 | 18 | 72.0 |
49 | 17 | 89.5 | 17 | 89.5 | 17 | 89.5 |
合計 | 840 | 78.1 | 888 | 82.6 | 903 | 84.0 |
HIが32倍以上を有効抗体価にすると78.1%になり30の年齢層のうち14の年齢層で80%を切ります。これを16倍以上にすると82.6%となり10の年齢層に減ります。だからどうしたという試算ではありませんが、個人的に気になっているのは、
風疹の抗体検査をした上で必要な人だけ接種させるよう協力を求める通知を出した。
どれぐらいを有効抗体価に厚労省は設定しているのだろうです。せこい話ですがHI 16倍以上にすると4.5%ほど接種対象者を削減できるからです。4.5%なんて誤差のうちみたいな数値ですが、ワクチン事情の切迫は深刻ですからこれぐらいの「せこいカット」をやらないとは言えない気がします。試算すると20〜40歳代の男性で20万本ぐらい節約できます。残りが175万本ぐらいですから小さいようで結構大きいかもしれません。
ここもあえて補足しておけば、20〜40歳代の男性は4760万人ぐらいいます。でもって現在の有効抗体価保有率では流行は防げていません。ピンポイントでワクチン接種を行い、接種されたものが一発必中で免疫を獲得するとして有効抗体価保有率を1%上げるのに47.6万本、5%上げるのに238万本、10%上げるのに476万本です。でもって残りは175万本程度、厚労省がメーカーの尻を叩きまくって追加増産しても残りは200万本ぐらいが目一杯じゃないかと考えられます。
もう一つ面白いのは、
この部分は正しく報じているのでしょうか。ソースがソースなので怪しいとは思うのですが、仮にもし正しければ、
- 既に助成事業を始めているところは無関係
- 助成事業を行っていないところは無関係
風疹抗体 | 検査代 | ワクチン代 | 助成 | 差し引き |
陰性 | 5000円 | 9000円 | 5000円 | 9000円 |
陽性 | 5000円 | 0円 | 0円 | 5000円 |
助成5000円はワクチン費用を半額にする程度の効果があったのですが、検査を前提にすれば吹っ飛びます。そのうえ平日に2回受診する必要が生じます。であれば助成を受けずにワクチンだけ接種する選択も生じると考えられるところです。それでも神戸市は記事を信じれば検査を行う必要はありませんが、これから助成事業に乗り出そうとすれば抗体検査費用をどう扱うかの問題が出ます。つまり抗体検査費用まで助成の範囲に含めるのか、含めないのかです。なんとなく
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助成事業はやめとけ!
以上簡単ですが、マスコミ記事の補足とさせて頂きました。