tabula rasa

HCD教育SIG キックオフ

September 1, 2014 at 8:31pm Home

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8/28(木)にHCD教育SIGに参加してきました。

HCD教育SIGとは、必要とされるHCDの知識や技術を持つ人間の育成を、どのように行っていくのかというテーマを、事例紹介などを通して議論・共有する場です。

今回は第一回として芝浦工業大学で開催されました。

弊社DMM.comの社内教育について話題提供で私も少しお話をしました。
本記事では、自分がお話した内容をご紹介いたします。

まず何よりも

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HCDの教育については、現場ごとに様々な形があるかと思います。

学生のためのしっかりとした講座、最低限の理解を広い社員に、すぐに実践で利用しなければならない限られた人向け・・・
私の場合は教育というよりも、社内で正しく知ってもらって、さらに興味を持ってもらえることがミッションでした。

ここで一番大切にしたことは

・個人が持っている興味を伸ばすこと

・興味を持って学習し続けるためのモチベーションを維持してもらうこと

この2点。

弊社は「バズワードに興味があるが、何となくしか知らない、機会があれば知りたい!」という社員が多くいます。

そういった人たちの、せっかく持っている興味を伸ばすお手伝いをして、しっかりと業務に落としこんでいきたい、という思いから社内勉強会を開始しました。

教育目的

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教育目的は大きく分けて3つ想定していました。

1.定性と定量の組み合わせ
webサービスはアクセス解析などログが数字で取りやすいということで、数字だけの判断に偏りがちになってしまいます。
ただし、数字は「何が起こったか?」は詳細に分かるのですが「なぜ起こったのか?」「どのように起こったのか?」などの点が分かりにくいという一面もあります。
そこで、定量と定性の調査を組み合わせることによって、改善や新規サービスの開拓などの効果を最大限に発揮することを目指しました。

2.組織リソースの再結合
DMMは御存知の通りネットレンタルから、英会話、3Dプリントまで多くの事業を展開しています。
そこで作業リソースがバラバラになってしまわないように、事業部や部署に横断的な視点を持たせ、担当社員がサービスを俯瞰して開発・運用できることも目的の1つです。

3.実務導入に向けた試験運用
有効な各手法も、そのまますぐに実務へ投入できるわけではありません。
社内勉強会を通して事前にキチンと体験しておくことで、業務導入する際の感触やカスタマイズの勘所などを探っておきます

教育対象

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最初期は私自身の知識・経験が未熟だったこともあり、まずは身近なデザイナーを対象に勉強会を開催しました。
スモールスタートではありましたが、最初から広い職務の社員を巻き込むことを想定していました。

UXDやHCDはデザイナーだけでは、対応することが絶対にできないからです。

また、開催場所は弊社の拠点である石川県2つオフィスと、恵比寿のオフィスとなっています。
それら全て合わせた参加者の内訳は以下のとおり。

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教育内容

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基本的にはUXD/HCD周りの手法を中心に。

まずは、自分が意図していることとサービス利用者が感じていることはぜんぜん違う、ということを理解してもらうためにオブザベーションを念入りに行いました。

観察による気付きや、情報の抜き出しを基礎と捉えて反復しながら少しずつ前進します。

実務導入を見据えたUXD/HCDの性質上、なるべく広い範囲の社員を巻き込みたい!
そのためには、社内勉強会の敷居を下げる必要があります。

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勉強会を小さくする狙いと効果については以下になります。



・拘束時間が短い
基本的に私が行なう勉強会は定時後に開催していますので、定時後でもちょっと出てみようかな、という気持ちを後押しできます。

・覚えることが少ない
一回で詰め込んで忘れられるよりは、テーマを絞って集中して学習してもらいます。

・成功体験を積み重ねる
小さいことでも「なんだできるじゃん!」を数多く体験してもらいます。

・不参加でも追い付きやすい
定時後ですので、仕事の関係でどうしても出れない方もいます。
そういった人たちが、次回ちゃんと復帰できるような、復帰しようと思えるような範囲で進行します。


逆に、この小勉強会を数多く開催するデメリットもあります。
その1つが、複数の手法の組み合わせを体系的に学習することができないということです。

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この弱点を補うために、弊社ではHCD-Net理事の浅野先生を招いて連続セミナーも開催しています。
最近はこちらがメインとなり、私は合間に予習会などを開催しています。

以上のように、弊社では上記のような流れで勉強会を展開してまいりました。
最初にお伝えしたとおり、現場ごとに適した社内教育があると思いますが、弊社の教育モデルが少しでも参考になれば幸いでございます。