アイキャッチ画像提供:シリオ株式会社
日本企画・開発&イタリア設計がこだわり!シリオの登山靴づくり

靴を発明した欧米の履物文化と異なり、草鞋・草履・下駄などの履物を使用してきた日本。このため日本人の足は甲高幅広や扁平足などの足型で、海外ブランドの登山靴だとフィットしない人が多い現状です。

その特徴を分析すると、足の長さと幅の比率に違いが。欧米人の多くが「10:3.5」なのに対し、日本人の半数以上が「10:4」の比率だったのです。
シリオの登山靴はこの日本人の足型を研究した専用ラスト(木型)を元に日本で企画・開発され、靴づくりの本場・イタリアで設計されています。
歩きやすさを支える3つのポイント

シリオでは、日本人に多い「10:4」の足型にぴったりの3E+を中心に、3E・4E+も加えた3種類のワイズ(足囲)を展開。しかし同社の登山靴の特徴はこれだけではありません。
快適な山歩きに最も重要な“フィッティング”を第一に、「足幅」 「高さ」 「硬さ」の3つの特長をひとつにした考え方「プリウス・フォルマ=P.F.コンセプト」で登山靴の開発を行なっているのです。
- 足幅
日本人の足型に多い「10:4」を基準に、爪先部分がゆったりフィットする形状で、幅広の足にジャストフィット。踵のホールド性を高めながら、足指でしっかり大地をつかめる形状です。 - 高さ
自然な歩行姿勢を保つため、踵の高さは重要なポイント。シリオは踵と爪先の高さの差を 10mmに設定して、自然な姿勢をキープしています。 - 硬さ
山歩きをする上で、靴の硬さはフィット感を左右します。足裏の力のバランスに合わせた硬さ配分により、足下の安定性とリズミカルに歩ける軽快さを、用途・目的に応じて実現しています。
安全に登山を楽しむためのこだわりが随所に

シリオの登山靴づくりへのこだわりは、歩きやすさだけに留まりません。山での歩行をサポートする、さまざまな工夫が凝らされています。
- バンパー
爪先部分のフロントバンパー、爪先から土踏まずまでのロングバンパー、アッパー周り全体を囲むラバーランドがあり、ハードに使われるものほどガード範囲を大きくしている。 - トゥカップ
爪先部分に軽量ながら強固な トゥカップを内蔵。爪先をしっかり保護する。 - ミッドソール
足を支える重要な部分。クッション性と衝撃吸収性に優れた素材を使用。 - シャンク
靴に適度な硬さを持たせるプレート。ねじれを防ぎ安定性を確保。 - ヒールカウンター
踵部分をカップ状に包み込み足をセンターに維持。歩行が安定。 - フットベッド
吸収性、通気性に優れた立体成形型。 - アンクルパッド
足首部分に快適にフィットし優しく保護。 - タング(ベロ)
外部からの小石や砂の侵入を防ぐだけでなく甲部分を優しく保護。シリオ立体裁断タングは、足首部分の切り込みデザインが歩行時のフレックス性とフィット感を高める。 - アッパー
耐久性、撥水性、通気性、快適性を考慮した厳選素材を使用。アシンメトリック・アッパーで靴の内側をより高くし、脚の彎曲に対して自然なホールド感と歩行スタイルを保つ。
すべてのモデルで、素材には「ゴアテックス ファブリクス」を使用。防水性と透湿性により足をドライに保ち、気象条件に適した快適さを提供しています。
さまざまな登山シーンに合わせたラインナップ

提供:シリオ株式会社(今回紹介する10モデル)
シリオの登山靴はソールスタンス(靴の硬さを測る目安)の長短により、対応シーンの異なるモデルを展開しています。

ソールスタンスが長いほど屈曲性が良く、緩斜面や平坦な路面に適した靴。ソールスタンスが短いほど硬く、重装備や急斜面・不整地の路面に適した靴です。
今回はそんなラインナップのうち「ライトトレッキング」「トレッキング」「マウンティニアリング」3ジャンルから、最新モデルを紹介します。
シリオの登山靴|取扱い店
「好日山荘」 「石井スポーツ」 「さかいや」など、登山専門店・アウトドア量販店にて購入可能です。店によって取扱いモデルは異なります。
ブランド担当者
ワンポイント・アドバイス
シリオの登山靴を選んでくださる理由は人それぞれです。
例えば足幅はそれほど広くはないけれど、締め付けられるのを好まないのでシリオの登山靴を愛用してくださっているという方も。
また、初めてシリオの登山靴を購入する方で「足幅がすごく広い」いう方は4E+と自己申告されることが多いのですが、3E+でも充分だったケースも多々あります。
さらに、同じモデルでもアッパーのデザインが変わると、履き心地も変わります。
やはり取扱い店でフィッティングをした上で、購入していただくのがベストですね。
なだらかで整備された登山道に!ライトトレッキングモデル6選

比較的傾斜が緩やかで、整備された登山道に好適なライトトレッキングモデル。軽快な足運びができる柔らかなソールです。特別な脚力を必要としないので、登山初心者の「初めての一足」にもオススメ。
ブランド担当者
ワンポイント・アドバイス
靴のモデルの選び方は「登る山や山行スタイル、予算、今後の予定」などの条件によるでしょう。
日帰りか1泊程度の山小屋泊であれば「P.F.302 Maron」、テント泊も想定に入れるのであれば「P.F.46.3 TTN」が、価格的にはリーズナブルでおすすめです。
軽さや耐久性も求めるのであれば「P.F.431AB/AI」を基本に、自分の足幅にあわせて広めな4E+ワイズの「P.F.441 AS」かタイトな3Eワイズの「P.F.41A Rosso」の中から選んでみてください。
P.F.302 Maron

2022年春夏シーズンから登場した、シリオいちおしのエントリーモデル。タングにナイロンメッシュを使用することで、通気性が大幅に向上しました。
足首周りには、シリオ独自のマルチダイレクション・アンクルフレックス・システムを採用。足首をしっかりサポートしつつ前後左右の動きやすさも高めることで、ストレスの少ない軽快な動きが可能です。
SIRIO P.F.302 Maron
ワイズ | 3E+ |
---|---|
重さ(片足) | 約580g/26.0cm |
ソールスタンス | 8cm |
ライトトレッキングモデル
P.F.46.3 TTN

ソールに、ビブラム社と共同開発した独自の「シリオ・VIBRAM®ŌKAMI」を採用。グリップ力(地面を掴む力)が高いので、滑りやすい路面でも荷重がブレずに安心して歩くことができます。
靴ひもの留め具と連結したサイドの「TPUリブケージ」が、自然なフィット感と柔軟性を発揮。こちらもブレのないスムーズな足運びをサポートしています。
SIRIO P.F.46.3 TTN
ワイズ | 4E+ |
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重さ(片足) | 約600g/26.0cm |
ソールスタンス | 7cm |
ライトトレッキングモデル
P.F.431 AB/AI

シリオのP.F.シリーズに採用されているリラックスフィットのアッパー。爪先からかかとまで、土踏まずから足の甲まで、足全体を優しくかつしっかりと包み込んでくれます。
「P.F.431 AB」は25.0cm〜29.0cmサイズ展開のメンズモデル、「P.F.431 AI」は22.5cm〜25.0cmサイズ展開のレディースモデルです。
SIRIO P.F.431 AB
ワイズ | 3E+ |
---|---|
重さ(片足) | 約590g/26.0cm |
ソールスタンス | 6.5cm |
ライトトレッキングモデル
SIRIO P.F.431 AI
ワイズ | 3E+ |
---|---|
重さ(片足) | 約530g/24.0cm |
ソールスタンス | 6.5cm |
ライトトレッキングモデル
P.F.441 AS

「長さ10:幅4」よりも足幅が広い人に対応した4Eワイズのモデルです。風合いだけでなく耐久性・堅牢性も兼ね備えた撥水加工済みのクロスタレザーをアッパーに採用。
ソールは爪先部分に広いコンタクトエリア(ラグと呼ばれる突起がないフラットな部分)があり、岩場などでも次の一歩が着実に踏み出せるパターン。セルフクリーニング設計で、泥落ちが良いのも特長です。
SIRIO P.F.441 AS
ワイズ | 4E+ |
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重さ(片足) | 約590g/26.0cm |
ソールスタンス | 6.5cm |
ライトトレッキングモデル
41A Rosso

今回紹介するシリオの登山靴10モデルの中では唯一の3Eワイズの登山靴。「長さ10:幅4」より少し細めの足幅の人や、タイトな履き心地を好む人にはオススメです。
その名の通りしなやかで耐久性・撥水性に優れた真紅のスウェードレザーにカバーされたアッパーは、足元のワンポイントにも。トータルコーディネートの中で、登山靴の存在感が際立ちます。
SIRIO 41A Rosso
ワイズ | 3E |
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重さ(片足) | 約590g/26.0cm |
ソールスタンス | 6.5cm |
ライトトレッキングモデル
ガレ場・ザレ場など不整地の登山道に!トレッキングモデル2選

日本アルプスや八ヶ岳などの高山では、山小屋やテント泊のアイテムも含めた装備で、いわゆる森林限界上のガレ場も歩く必要があります。そんな中堅登山者にオススメのモデルです。
P.F.630/640


こちらもイタリア・ダニ社製のヌバックレザーをアッパーに採用した、撥水性・耐久性に優れた足に馴染む本格的トレッキングシューズ。踵からアキレス腱にかけての靴の内部に日本人の足に合わせて配置した3Dパッドを内蔵し、踵の浮きをおさえるフィット感を実現しています。
「P.F.630」が3E+ワイズ、「P.F.640」が4E+ワイズなので、自分の足型に合わせて選びましょう。
SIRIO P.F.630
ワイズ | 3E+ |
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重さ(片足) | 約820g/26.0cm |
ソールスタンス | 5cm |
トレッキングモデル
SIRIO P.F.640
ワイズ | 4E+ |
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重さ(片足) | 約820g/26.0cm |
ソールスタンス | 5cm |
トレッキングモデル
雪山や登攀要素が強い岩稜登山に!マウンティニアリングモデル2選

スペック上は3シーズンですが、セミワンタッチアイゼンも装着可能なマウンティニアリングモデル。厳冬期を除けば、雪山登山にも使用可能なモデルです。もちろん、不整地な足場が連続する岩稜帯での山岳登攀にも対応していますよ。
ブランド担当者
P.F.730

履き口の後部に、雨・泥・小石などの侵入を防ぐビルトインゲーターを配置したハイカットモデル。ゲーターは足首に負荷のない、伸縮性のある素材です。
靴ひもを足首部分と甲部分で異なったテンションで締め分けられるシュールーフロックや、爪先だけを岩場に乗せて登る際のグリップ力を可能にしたソール先端の硬質な素材など、細部にまで工夫が凝らされています。
SIRIO P.F.730
ワイズ | 3E+ |
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重さ(片足) | 約760g/26.0cm |
ソールスタンス | 5cm |
P.F.731

「P.F.730」に防水性・透湿性だけでなく断熱性・保温性も兼ね備えた「ゴアテックス・インシュレーテッドコンフォート・フットウェア」素材を採用した、より寒さに強いモデル。
靴ひもの前部中央に配置されたストラップを手前に引くことで、素早く靴ひもを緩めることができる「クイックリリース」も搭載しています。
SIRIO P.F.731
ワイズ | 3E+ |
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重さ(片足) | 約760g/26.0cm |
ソールスタンス | 5cm |
お気に入りの一足。長く愛用するために

シリオは自社でアフターケア工房を運営。熟練した専門スタッフが、剥がれたソールの張替えをはじめとした修理を行っています。
今回紹介のシリオの登山靴は、アッパーさえ傷んでいなければ「P.F.302 Maron」以外の全てのモデルがソール張替え可能。ソールが剥がれてしまったら、購入したお店かシリオ取扱店で張替えを受け付けてくれます。登山靴の汚れを落として、フットベット(インソール)は外してからお店に持ち込みましょう。
張替えは有償となり、期間は2〜3週間(時期によってはそれ以上の日数)を要しますが、履き慣れた登山靴がピカピカのソールになって戻ってくるのは嬉しいもの。
せっかく出会ったお気に入りの一足、ソールの寿命を越えても張替えを繰り返しながら、長く愛用してくださいね。