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アイキャッチ画像撮影：鷲尾 太輔（高尾山からの富士山）
低山でも魅力がいっぱい！関東地方の冬の山々
関東地方はじめ太平洋側は冬でも晴れの日が多いため、防寒対策だけ備えれば気軽に登山へ出かけることができます。
雪山登山の装備が不要な降雪・凍結の心配が少ない、すなわち標高の低い山が中心とはなりますが、低山だからといって物足りないということはありません。
むしろクリアな視界がもたらしてくれる絶景の眺望など、冬ならではの楽しみがある山もいっぱい。冬でも登山を楽しみたい人が納得の、全10座を紹介します。
通常は積雪することが少ない山々を紹介していますが、突然の降雪など気候により状況が変わることがあります。登山へ出かける前には必ず地元自治体や観光施設などのWEBやSNSを確認いただき、登山道や交通機関の状況を把握してください。
- 宝篋山（茨城県）
眼前の筑波山と関東平野・富士山の大パノラマ - 古賀志山（栃木県）
スリリングな岩場が点在する関東百名山 - 行道山（栃木県）
断崖に囲まれた古刹から縁結びの神社へ縦走 - 吾妻山（群馬県）
展望絶佳！山野草も美しい桐生市の故郷の山 - 笠山〜堂平山〜剣ヶ峰（埼玉県）
外秩父の3座を結ぶ周回コース - 伊予ヶ岳（千葉県）
東京湾のパノラマとスリリングな稜線 - 高水三山（東京都）
ショートコースながら奥多摩の縦走を満喫 - 城山〜高尾山（東京都）
あったか茶屋グルメと富士山のパノラマ - 石老山（神奈川県）
奇岩・怪石が連続する関東百名山 - 幕山〜南郷山（神奈川県）
芳香漂う梅林と相模湾の絶景を満喫
＊気になる山をクリックすると、その山へジャンプします
1. 眼前の筑波山と関東平野・富士山の大パノラマ｜宝篋山（茨城県）
日本百名山・筑波山の南東に連なり、山頂に宝篋印塔（ほうきょういんとう）が祀られていることが山名の由来である宝篋山（461m）。低山でありながら関東平野に突きだした立地であるため、山頂付近からの展望は抜群です。
北には迫力満点の大きさで筑波山の双耳峰がそびえ、東には霞ヶ浦の広大が水をたたえています。南方向に目を転じれば関東平野の大パノラマが広がり、空気が澄んだ冬であれば富士山の眺望も期待できますよ。
実はこの宝篋山、21世紀初頭までは荒廃した里山でした。これが地元ボランティアの方々によって、現在は南側からの極楽寺コース・常願寺コース・小田城コース、西側からの山口コース・新寺コースが整備され、変化に富んだ登山を楽しむことができます。
春の花や秋の紅葉も美しい森に包まれた登山道沿いには、親切すぎるほど随所にベンチやテーブルが設置されています。山頂直下にはバイオトイレもあり、家族連れでも登りやすい山。かつて山中には小田城という山城があったことから、地元の人からは小田山の名でも親しまれています。
コース概要
コース概要
小田休憩所（15分）→登山口（60分）→＜極楽寺コース＞→純平歩道分岐（40分）→宝篋山（20分）→＜小田城コース＞→硯石（20分）→純平歩道分岐（15分）→富岡山・愛宕神社分岐（20分）→小田休憩所
交通アクセス
・JR常磐線・土浦駅から宝篋山入口バス停まで関東鉄道バスでまで約30分
・常磐自動車道・土浦北ICから小田休憩所駐車場までクルマで約15分
2. スリリングな岩場が点在する関東百名山｜古賀志山（栃木県）
宇都宮市森林公園の西にそびえるのが、関東百名山の一座・古賀志山（こがしやま・582m）です。メインの登山口である赤川ダムからは、晴れて風が穏やかな日であれば湖面に映り込む「逆さ古賀志」を見ることもできます。
山頂を含め登山道の大半は樹林帯ですが、山頂直下の東稜見晴台や西に連なる御嶽山（560m）からは、お隣の茨城県最高峰・八溝山（1022m）や、栃木県を代表する日本百名山・男体山（2486m）をはじめとする日光連山が眺望でき、雪化粧したその山並みは冬ならではの絶景です。
古賀志山はそのギザギザの山容通り、スリリングな岩稜の連なりです。ロッククライミングのゲレンデも点在しており、クライマーも多く訪問。一般ルートでも転滑落による遭難事故が発生しているので、集中力を切らさない慎重な行動が求められます。
北コースの富士見峠から先はロープが設置された急斜面が続き、御嶽山との間も鎖場やハシゴが設置された険しい稜線です。さらに西には赤岩山（523m）も連なっていますが、御嶽山から先は破線ルート（難路）となります。こちらへは進まず南コースへ下り、赤川ダムに戻りましょう。
コース概要
技術的難易度：★★★☆☆
・ハシゴ、くさり場、雪渓、渡渉箇所のいずれかがある
・転んだ場合に転落・滑落事故につながる箇所がある
・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要
凡例：グレーディング表
コース概要
赤川ダム駐車場（5分）→赤川ダム（10分）→芝山橋（7分）→北コース登山口（1分）東陵コース分岐→（1分）→中尾根コース分岐（60分）→富士見峠（20分）→古賀志山（10分）→御嶽山（25分）→直登コース分岐（5分）→古賀志林道（12分）→南コース分岐（30分）→宇都宮市森林公園（5分）→赤川ダム（4分）→赤川ダム駐車場
交通アクセス
・東北自動車道・宇都宮ICから赤川ダム駐車場までクルマで約15分
3. 断崖に囲まれた古刹から縁結びの神社へ縦走｜行道山（栃木県）
断崖絶壁に囲まれた山中にある行道山浄因寺（ぎょうどうさんじょういんじ）は、高尾山の薬王院有喜寺や御岳山の武蔵御嶽神社と同じ、行基上人（ぎょうきしょうにん）によって開かれた「関東の高野山」とも呼ばれる古刹。その絶景は、栃木県の名勝第1号に指定されました。
行道山はその背後に連なる山々の総称で、最高峰の石尊山（せきそんざん・441m）付近からは関東平野や浅間山を一望。稜線を南に進んで大岩山（おおいわさん・417m）・両崖山（りょうがいさん・251m）へと、足利市街を眼下に見下ろしながらの縦走を楽しむことができます。
足利城址でもある両崖山から明石山（161m）・鏡山（160m）へと続く稜線の西斜面は西渓園梅林となっており、例年2月下旬から3月中旬は約1200本の紅白梅が咲き乱れます。
また、下山場所にある足利織姫神社は、足利の名産品であった機織物の神様2柱を祀る古社。経糸（たていと）と緯糸（よこいと）が織りあって生地になることから、縁結びのパワースポットとしても人気です。
コース概要
コース概要
行道山バス停（25分）→関東ふれあいの道分岐（20分）→浄因寺（45分）→行道山・石尊山（15分）→大岩山（25分）→関東ふれあいの道分岐（75分）→両崖山（35分）→鏡山（15分）→織姫神社（25分）→足利駅
交通アクセス
・JR両毛線・足利駅から行道山バス停まで足利市コミュニティバスで約20分
4. 展望絶佳！山野草も美しい桐生市の故郷の山｜吾妻山（群馬県）
桐生市街地の北側にそびえる吾妻山（あづまやま・481m）は、トレーニングを兼ねて毎日のように登る市民もいる桐生市の故郷の山です。眼下に広がる桐生の街並はもちろん、悠々と流れる渡良瀬川や秩父の山々、晴れて空気が澄んだ日には東京都心の高層ビル群や富士山までを眺望することができます。
ここから稜線を北上すると関東百名山の霊峰・鳴神山（なるかみやま・980m）まで縦走することも可能ですが、鳴神山までだけでも7時間近いロングコース。今回は山頂と同じく展望の良いトンビ岩を登り、下りは巻道を使う手軽な往復コースを紹介します。
吾妻山周辺は山野草も豊富で、特に3月中旬〜下旬に見頃を迎えるカタクリの群生は圧巻です。登山口の吾妻公園も桜やチューリップの名所として知られています。
歩き足りなければ、吾妻山から稜線を北上して萱野山（かやのやま・568m）まで行き、西側の自然観察の森へ下るのもおすすめ。四季を通じて様々な植物や昆虫・野鳥を観察することができます。
コース概要
コース概要
吾妻公園登山口（20分）→水道山公園分岐（20分）→トンビ岩（45分）→吾妻山（25分）→トンビ岩（15分）→水道山公園分岐（10分）→吾妻公園登山口
交通アクセス
・JR両毛線・桐生駅から吾妻公園登山口まで徒歩約30分
・北関東自動車道・太田藪塚ICから吾妻公園駐車場までクルマで約30分
5. 外秩父の3座を結ぶ周回コース｜笠山〜堂平山〜剣ヶ峰（埼玉県）
東武東上線・小川町駅から寄居駅の間には、外秩父七峰縦走ハイキングコースという全長42kmにも及ぶ縦走コースがあり、1986年から2022年まで全35回に渡って開催されていた全コースを歩くイベントには、毎年数千人ものハイカーがチャレンジしていました。
今回はコース上の7座の中から、関東百名山に選定されている笠山（かさやま・837m）と山頂からの展望が素晴らしい堂平山（どうだいらさん・875m）をめぐり剣ヶ峰（けんがみね・876m）へも登る周回コースを紹介します。
笠山の山頂標識付近は樹林帯ですが、ここから往復10分ほどの笠山神社からは、木々の間から関東平野を見下ろすことができます。堂平山は山頂に天文台があり、周囲はパラグライダー体験ができる芝生の広場になっているため、全方位の眺望が抜群。日本百名山だけでも14座を望むことができます。
なお、堂平山は山頂直下まで林道が通っており、路面の凍結などに注意すればクルマでもアクセス可能。同じく外秩父七峰の皇鈴山（みすずやま・679m）・登谷山（とやさん・668m）も林道が近接しており、山頂からのパノラマや夜景を鑑賞することができます。
コース概要
コース概要
白石車庫バス停（5分）→笠山登山口（110分）→笠山（25分）→笠山峠（5分）→篭山のタル（40分）→堂平山（15分）→NHK無線中継所（15分）→剣ヶ峰（15分）→白石峠（40分）→細山（15分）→林道笠山線分岐（15分）→白石車庫バス停
交通アクセス
・東武東上線・小川町駅から白石車庫バス停までイーグルバスで約35分
6. 東京湾のパノラマとスリリングな稜線｜伊予ヶ岳（千葉県）
江戸時代からの石切場（採石場）の遺構が古代神殿のような景観を作り出している鋸山（のこぎりやま・329m）や、作家・曲亭馬琴が生涯をかけて執筆した江戸時代の長編小説『南総里見八犬伝』ゆかりの富山（とみさん・349ｍ）など、温暖な房総半島には冬の低山登山にもってこいの山がずらり。
なかでもその鋭い山容が「房総のマッターホルン」や「安房（あわ）の妙義山」とも称され、関東百名山にも選定されているのが伊予ヶ岳（いよがたけ・337m）です。千葉県内で唯一、その名に「岳」が冠せられた山としても知られています。
その険しい山容の通り、山頂付近はロープが設置された急斜面や鎖が設置された切り立った稜線が続き、滑落事故も発生しています。登山口の平群天（へぐりてん）神社から片道1時間ほどの低山とはいえ、慎重な行動が求められる山です。
鎖で囲まれた山頂周辺からは、東京湾の展望が抜群。空気が澄んだ日であれば、対岸には富士山・南アルプス・丹沢山塊・箱根の山々や伊豆諸島などを一望することができます。西側に連なる富山も3時間弱で往復できるので、房総を訪れたらあわせて登っても良いでしょう
コース概要
技術的難易度：★★★☆☆
・ハシゴ、くさり場、雪渓、渡渉箇所のいずれかがある
・転んだ場合に転落・滑落事故につながる箇所がある
・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要
凡例：グレーディング表
コース概要
天神郷バス停（5分）→平群天神社 （30分）→ 富山分岐（15分）→ 東屋（10分）→ 伊予ヶ岳南峰（10分）→ 伊予ヶ岳北峰（25分）→ 伊予ヶ岳北尾根分岐（15分）→ 東屋（10分）→富山分岐（20分）→平群天神社（5分）→天神郷バス停
交通アクセス
・JR内房線・岩井駅から天神郷バス停まで南房総市営バスで約25〜40分（便によって変動）
・富津館山道路・鋸南富山ICから平群天神社までクルマで約10分
7. ショートコースながら奥多摩の縦走を満喫｜高水三山（東京都）
東京都の奥座敷といえる奥多摩には、東京都最高峰の雲取山（2017m ）・川苔山（1363m）・大岳山（1266m）などが連なっていますが、冬は積雪・凍結の懸念も。そんな奥多摩で標高三桁台ながら縦走できるのが高水山（たかみずさん・756m）・岩茸石山（いわたけいしやま・793m、関東百名山の一座）・惣岳山（そうがくさん・743m）を結ぶ高水三山です。
高水山の山頂直下には、常福院 龍学寺があり、真言宗豊山派の山岳信仰に則った護摩祈祷などの行事が行なわれているほか、惣岳山にも青渭（あおい）神社の壮麗な社殿が鎮座しています。JR青梅線の駅から駅を結ぶコースなので、利便性も魅力です。
コースはJR青梅線の御嶽駅や川井駅からも設定できますが、今回は軍畑（いくさばた）駅からお隣の沢井駅を結ぶ反時計回りのコースを紹介します。そしてゴール地点の沢井駅近くにあるのが、奥多摩を代表する銘酒・澤乃井を製造する株式会社小澤酒造です。
様々な銘柄の日本酒を5勺（90ml）のきき猪口で味わうことができるきき酒処（有料）が人気。とうふ料理を供する食事処豆らくや、ドリンク・スイーツを供するCAFE 雫、さらに麺類やおでん・もつ煮などの軽食を多摩川を見下ろしながら食すことができる清流ガーデン澤乃井園など様々な施設があるので、お酒を飲めない人でも楽しい「下山めし」におすすめのスポットです。
コース概要
コース概要
軍畑駅（40分）→高源寺（15分）→車道終点（75分）→常福院分岐（15分）→高水山（35分）→岩茸石山（30分）→馬仏山（30分）→惣岳山（50分）→沢井分岐（15分）→青渭神社（5分）→青渭橋（10分）→沢井駅
交通アクセス
・JR青梅線・軍畑駅からすぐ
8. あったか茶屋グルメと富士山の眺望｜小仏城山〜高尾山（東京都）
冬でも楽しめる首都圏近郊の山の代表格が、陣馬山（じんばさん・855m）・景信山（かげのぶやま・727m）などが連なる奥高尾縦走路です。その魅力のひとつが各山頂にある茶店でのあったかグルメ。小仏城山（こぼとけしろやま・670m）では、夏のメガ盛かき氷も人気の城山茶屋と、2024年3月に景信山から移転オープンした小仏城山 青天狗の2軒の茶店が登山者を迎えています。
営業日は主に週末・休日のみとなりますが、名物のなめこ汁は城山茶屋が醤油味、小仏城山 青天狗は味噌味となっており食べ比べもおすすめ。ほかにもおでん・モツ煮などメニューが充実しており、山頂広場に数多く設置されているベンチ・テーブルで食せば、身体の芯から温まること請け合いです。
もちろん冬ならではの眺望も魅力。小仏城山・一丁平・高尾山など随所から、丹沢山塊を前景にそびえる雪化粧の富士山を望むことができます。
高尾山の山頂からは、薬王院の水行道場のひとつ「蛇滝水行道場」がある蛇滝口方面に下ってみましょう。小仏バス停へのバスが走る旧甲州街道沿いは高尾梅郷と呼ばれる小規模な梅林が点在し、例年2月下旬〜3月中旬には芳香とともに花を咲かせます。下山場所の蛇滝口にあるのが湯の花梅林です。
西へバス停をひとつ進んだ摺差（するさし）にも梅林があり、ここにある峯尾豆腐店（日曜休業）が作る豆腐やおからドーナツは高尾山で人気の逸品。蛇滝口バス停近くにあるカフェ山籟（さんらい）のジビエ料理など、下山後も随所でグルメを楽しむことができます。
コース概要
コース概要
小仏バス停（20分）→景信山登山口（5分）→小仏峠入口（50分）→小仏峠（30分）→小仏城山（20分）→一丁平園地（50分）→高尾山（20分）→高尾山薬王院（20分）→十一丁目茶屋（50分）→蛇滝口バス停
交通アクセス
・JR高尾駅北口から小仏バス停まで京王バスで約20分
・蛇滝口バス停からJR高尾駅北口まで京王バスで約15分または徒歩約35分
9. 奇岩・怪石が連続する関東百名山｜石老山（神奈川県）
関東百名山にも選定され、相模湖の南にそびえているのが石老山（せきろうざん・702m）です。山中の古刹・石老山顕鏡寺は、大蛇のような根が露出している巨木・蛇木杉（じゃぼくすぎ）が壮観。登山道の傍にも屏風岩・仁王岩・駒立岩・文殊岩・八方岩などの奇岩・怪石が数多く、飽きることがありません。
融合平展望台・大明神展望台や山頂の展望ポイントからは、南には丹沢山塊や富士山、西には道志山塊、眼下の相模湖も眺望でき、空気が澄んだ冬場にはこれらのパノラマも魅力の山です。
下山口から最寄りのバス停はさがみ湖MORI MORI前となりますが、少し西へ下ったみの石滝キャンプ場の第一桟橋から対岸の第二桟橋までは渡し舟・みの石ボート（大人片道700円）が運行されており、ゆったりと湖上遊覧を楽しみながら相模湖駅へ戻るのも一興です。
下山口近くの「さがみ湖MORI MORI」は広大な森に囲まれた複合アウトドアリゾート。例年11月半ばから5月上旬まで実施されるさがみ湖イルミオンは、関東最大級の600万球が輝くイルミネーションです。凛とした冬空の下では、ひときわ美しい光の共演を楽しむことができます。
コース概要
石老山入口バス停（20分）→石老山登山口（20分）→顕鏡寺（40分）→融合平展望台（50分）→石老山（50分）→大明神展望台（40分）→箕石橋（20分）→さがみ湖MORI MORI前バス停
交通アクセス
・JR中央線相模湖駅から石老山入口バス停まで神奈川中央交通バスで約7分
・さがみ湖MORI MORI前バス停からJR中央線相模湖駅まで神奈川中央交通バスで約11分
・中央自動車道・相模湖東ICから石老山登山口駐車場までクルマで約15分
10. 芳香漂う梅林と相模湾の絶景を満喫｜幕山〜南郷山（神奈川県）
神奈川県の奥座敷とも呼ばれる湯河原温泉のシンボルともいえるのが、幕山（まくやま・626m）です。その山麓にある幕山公園では例年2月中旬から3月上旬に、約4000本の紅白梅が見頃を迎え「梅の宴」というイベントも開催されます。この時期には梅のトンネルの中を登り、その芳香を楽しみながら登山することができるのです。
歩みを進めると眼下に広がる梅林は、さながら桃源郷のよう。幕山南面の幕岩は古くからロッククライミングのゲレンデでもあり、ロープを使って断崖を攀じるクライマーへ思わず声援を送りたくなることでしょう。
広々とした草原が広がる幕山山頂や、源頼朝による平家討伐の伝承が残る自鑑水（じがんすい）を経て縦走できる南郷山（なんごうさん・610m）からは、眼下の真鶴半島はもちろん伊豆諸島・三浦半島や湘南海岸までを一望できます。
南郷山の山麓斜面は、年間を通して温暖な湯河原ならではのみかん畑が点在。無人直売所や湯河原駅近くの専門店で購入することができ、下山後のおやつやお土産にも最適です。周辺には日帰り入浴施設も多く、湯河原駅前にある手湯だけでも湯河原温泉の効能を体感できますよ。
コース概要
コース概要
幕山登山口（100分）→幕山（15分）→自鑑水分岐（5分）→自鑑水（30分）→南郷山（15分）→南郷山入口（5分）→白銀林道（65分）→鍛冶屋バス停
交通アクセス
・JR東海道線・湯河原駅から幕山公園まで箱根登山バスで約18分
・鍛冶屋バス停から湯河原駅まで箱根登山バスで約12分
・真鶴道路・福浦ICから幕山公園駐車場まで約10分
事前の情報収集は万全に！
今回は晴天率が高い関東周辺の標高1000m未満の山をセレクトしました。しかし南岸低気圧の通過時や直後は、これらの低山でも積雪の可能性はあります。天気予報でもとりわけ気圧配置の変化を注視して、関東地方の南岸・東岸を通過する低気圧の進路をチェックしてください。
また、降雪には至らなくても朝晩の低温による凍結や、溶けた霜による泥濘などもスリップの原因になります。登山前には必ず地元自治体や観光施設などのWEBやSNSを確認して、登山道や交通機関の状況を把握して出かけてください。
