登山道、利便性、周辺地域…
「ふくしま尾瀬」は魅力たっぷり!
ふくしま尾瀬には、歩きがいのある登山ルートや玄関口である地域観光など、訪れたくなる魅力が満載。さっそく、ポイントをチェックしていきましょう!
歩きがいのある登山ルートがある

尾瀬といえば高低差の少ない湿原歩きのイメージが強いですが、福島県側から入るルートは樹林帯や滝、沢などバリエーションに富んでおり、燧ヶ岳や会津駒ヶ岳、田代山など本格的な登山にも行きやすい。
「木道歩きだけでは少し物足りない……」という人も満足度の高いトレッキングが楽しめます。
また比較的人も少ないので、のんびり静かに歩けるのもうれしいポイントです。
マイカーでアクセスOK!420台の駐車場がある

出典:尾瀬ひのえまた山旅
尾瀬にはマイカー規制があるので、車で群馬県側の鳩待峠へ行くには一度「戸倉」に駐車し、公共交通機関で移動する必要があります。また登山口に駐車場がある「富士見下」と「大清水」もそれぞれ30台、100台のスペースで、ハイシーズンは混雑で駐車できない可能性も。
関東からアクセスしやすいとはいえ、混雑を避けるにはかなり早出する必要があるなど、難しさもあるのです。
一方で福島県側の登山口「御池」なら、駐車場から移動せずともそのまま登山をスタート!420台収容できる広めの駐車場なので慌てて向かう必要もありません。

福島県側のもう一つの登山口であり、尾瀬沼まで最短距離で行けるルートとして人気の「沼山峠」に向かうシャトルバスも運行しています。
さらに、御池駐車場前には宿泊施設「御池ロッジ」があるので、遠方から訪れる場合は前泊し、翌朝からゆっくり歩き始めることも可能。
「なんだか懐かしい…」日本の原風景に出会える

ふくしま尾瀬の玄関口である南会津町(みなみあいづまち)と檜枝岐村(ひのえまたむら)。
ともに9割以上が森林に囲まれるのどかな田舎町で、一歩足を踏み入れると、そこには郷愁を誘う日本の原風景が広がっています。
観光地化されていない、ありのままの自然や文化を味わえる2つの地域から、見どころをピックアップ!登山の前後に立ち寄って、ゆるやかな時の流れに浸りながら心身をリフレッシュしてみませんか?
南会津町の見どころ
出典:うつくしま観光フォトライブラリ、ふくしま尾瀬、PIXTA
1000年以上続く秘湯「木賊(とくさ)温泉」
西根川の川床にある混浴の露天風呂。全国的にも珍しい足元から湧き出る温泉は、空気に触れることなく源泉100%の湯が楽しめます。岩を掘った浴槽は野趣あふれる雰囲気で、マニア憧れの温泉としても有名です。泉質は単純硫黄泉で、登山後の筋肉痛や疲労回復の効果も期待!
- 「前沢曲家(まがりや)集落」の景観美
曲家とは、母屋と馬屋が一体となったL字型の建築様式。茅葺き屋根の伝統的な曲家が立ち並ぶようすは、まさに日本の原風景そのものです。
会津在来種の地粉を使った「そば」
南会津では在来種そばの栽培が盛んで、その特徴はコシがあり風味も豊か。とくに香り高いとされる舘岩(たていわ)在来種のそばの実を使った十割そばが人気です。
檜枝岐村の見どころ
出典:うつくしま観光フォトライブラリ、 尾瀬ひのえまた山旅
檜枝岐名物「裁ちそば」
米や小麦の栽培に適さない檜枝岐村では、つなぎを使用しないそば粉100%で打った「裁ちそば」が食されてきました。名前の由来は、約2㎜に延ばした生そばを重ねて裁つ様子が布を裁ち切る姿に似ていることから。そば粉100%ならではの風味や舌触り、のど越しのよさが味わえます。
湯量豊かな「3つの公共浴場」
湧水や温泉など清らかな自然水に恵まれる檜枝岐村には、「駒の湯」、「燧の湯」、「アルザ尾瀬の郷」の3つの公共入浴場があります。国道沿いに位置しており、登山後のアクセスも良好。
「千葉之家花駒座(ちばのやはなこまざ)」
江戸時代に始まった檜枝岐歌舞伎を伝承する村唯一の組織で、上演される舞台は、国の重要有形民俗文化財に指定されています。公演は5・8・9月と年3回開催。
「ふくしま尾瀬」を楽しむ3つのプラン
玄関口の地域文化を体験しながら、尾瀬の大自然にどっぷり浸かる。ここでは欲張りに旅を楽しむ「ふくしま尾瀬」のおすすめプランを3つご紹介します。

作成:YAMA HACK
アップダウンの少ない気軽な木道歩き
【①沼山峠↔︎尾瀬沼ピストンコース】

沼山峠を起点に尾瀬沼を最短距離で目指す、代表的な初心者向けのコース。標準タイムは約2時間と短いため、下山後に檜枝岐村や南会津町を観光する日帰りプランが可能です。





































最高点の標高: 1789 m
最低点の標高: 1664 m
累積標高(上り): 235 m
累積標高(下り): -235 m
御池→沼山峠↔︎尾瀬沼ピストンコース(距離:約6.5㎞、標準タイム:約2時間10分)
全体的にアップダウンが少なく、緩い木道歩きが中心。数あるコースのなかでも、尾瀬沼を最短距離で目指すことができます。日本一標高の高い湖・尾瀬沼や、豊富な高山植物に恵まれる大江湿原など、距離は短いながら見どころも満載。
あっという間に大江湿原へ

沼山峠休憩所。出典:PIXTA
御池から約20分シャトルバスに乗り、まずは沼山峠へ。朝一番のバスに乗れば、7時台から登山をスタートすることができるので、朝の尾瀬を楽しむなら御池ロッジでの前泊がおすすめ。

はじめは幅の広い木道の階段が続きますが、15分も登れば峠のピークに到着。そこから緩やかな木道を25分ほど歩き進むと、大江湿原に出ます。

尾瀬ヶ原では見られなくなった希少な湿原植物や高原植物が見られる大江湿原。
大江湿原のシンボルである三本カラマツは必見で、晩秋になると3本のカラマツの紅葉を見ることもできます。
最短距離で尾瀬沼へ

登山口から1時間20分ほどすると、尾瀬沼へ到着。
標高1,660mにある尾瀬沼は日本でもっとも高所にある湖で、透き通るような湖面に映し出される猛々しい燧ヶ岳の姿には、つい目を奪われてしまいます。

長蔵小屋。出典:PIXTA
尾瀬沼の東岸には尾瀬沼ビジターセンターや尾瀬でもっとも歴史のある山小屋「長蔵小屋」があるので、時間に余裕があれば立ち寄ってみるのもあり。
午前中のうちに登山口に戻ることができるので、下山後は檜枝岐村、南会津町で食事や温泉を満喫しましょう。
行程案(車利用)
▼1日目
12:00 東京発
17:00 御池ロッジ着 前泊
▼2日目
07:20 御池ロッジ発
07:30-08:00 御池→沼山峠(シャトルバス)
08:00-10:00 尾瀬ハイキング
10:00-10:30 沼山峠→御池(シャトルバス)
11:00-12:30 観光&蕎麦ランチ@檜枝岐村
13:00-14:00 木賊温泉@南会津
19:00 東京着
東北の最高峰をピークハント
【②御池↔︎燧ヶ岳ピストンコース】

福島県の最高峰かつ東北最高峰でもある燧ヶ岳を登る本格的な登山コース。コースタイムが6時間とやや長めのため、観光を兼ねて檜枝岐村に前泊する1泊2日プランがおすすめです。
御池↔︎燧ヶ岳ピストンコース(距離:約9km、標準タイム:約6時間 )
トラバース、沢筋の急登など本格的な登山が楽しめます。湿原と池塘が織りなす尾瀬有数の景観美が魅力の広沢田代、熊沢田代があり、燧ヶ岳の2つの山頂からは尾瀬沼や尾瀬ヶ原が一望できます。

























最高点の標高: 2315 m
最低点の標高: 1508 m
累積標高(上り): 921 m
累積標高(下り): -921 m
美しい湿原を横目に進む

御池登山口から燧ヶ岳を目指す本コースは、道中にひな壇状の裾野を登ります。登り始めは急登ですが、その先には広沢田代、熊沢田代と美しい湿原が待ち構えているので、登りがいも十分!

熊沢田代の木道。出典:PIXTA
広沢田代には7月に見頃を迎えるワタスゲの大群落が、縦長く伸びる熊沢田代には鞍部に2つの池が佇み、まるでおとぎ話に迷い込んだような世界に浸ることができます。
燧ヶ岳の2つのピークに立つ

双耳峰の燧ヶ岳は俎嵓(まないたぐら)と柴安嵓(しばやすぐら)の2つのピークを踏むことが可能。
標高2,346mの俎嵓の眼下には尾瀬沼が、遠くを見渡すと那須岳や日光男体山など関東の山々の絶景が広がります。
双耳峰(そうじほう):1つの山の頂上部に、二つの耳のように対になったほぼ同じ標高の2つのピークを持つ山のこと

さらに俎嵓の向かいにある標高2,356mの柴安嵓に登ると、尾瀬ヶ原や平ヶ岳、越後三山などを望むことができます。
行程案(公共交通機関利用)
▼1日目
11:00-14:09 浅草駅→会津田島駅 (特急リバティ)
14:20-15:48 会津田島駅→檜枝岐(バス)
16:00 旅館に到着@檜枝岐村
▼2日目
08:00-08:30 檜枝岐→尾瀬御池(バス)
08:30-15:00 燧ヶ岳ピストンコース
15:20-17:20 尾瀬御池→会津田島駅(バス)
17:48-21:05 会津田島駅→浅草駅(特急リバティ)
※バスの時間は変更となる場合があります。
約25kmのロングコースで景勝地を満喫
【③御池→沼山峠コース】

御池から尾瀬ヶ原、尾瀬沼を経て沼山峠まで巡る1泊2日のロングコースに、南会津町・檜枝岐村での観光も含めた、ふくしま尾瀬を満喫するプラン。登山口と下山口は異なりますが、シャトルバスが出ているのでマイカー利用も可能です。
御池→沼山峠コース(距離:約25.7km 標準タイム:約8時間45分)
三条の滝、尾瀬ヶ原、尾瀬沼と、ふくしま尾瀬の景勝地を巡りながら燧ヶ岳の山麓を周るロングコース。温泉地区もしくは見晴地区の山小屋やテント場に宿泊することで、日帰りでは見ることのできない夕景や星空とも出合える。





































最高点の標高: 1789 m
最低点の標高: 1226 m
累積標高(上り): 945 m
累積標高(下り): -748 m

御池からうさぎ田代まで続く木道。出典:PIXTA
登山口からうさぎ田代まで、樹林帯と天神田代などの湿原を繰り返しながら、比較的なだらかな木道を燧ヶ岳の北側から反時計周りに歩いていきます。

うさぎ田代の分岐では三条の滝を廻るルートと迂回ルートとを選ぶことができますが、体力に余裕があれば迷わず三条の滝へ!尾瀬ヶ原から只見川へダイナミックに流れ落ちる直瀑は、目を見張る迫力です。

燧ヶ岳を背に広大な尾瀬ヶ原が見渡せる見晴エリアには、6つの山小屋とテント場があります。水源に恵まれるため、小屋では入浴ができるのもうれしいポイント。

ふくしま尾瀬の景勝地を巡りながら、刻々と変わるその表情を見ることができるのも宿泊プランならでは。
マジックアワーに彩られる夕景のグラデーションに満天の星空、早朝に靄がかかった幻想的な湿原など、懐の深い尾瀬の趣を存分に味わうことができます。
行程案(マイカー利用)
▼1日目
05:00 東京発
10:00 御池駐車場着
御池〜見晴地区ハイキング
14:00 山小屋にチェックイン
▼2日目
07:00-10:00 見晴地区〜沼山峠ハイキング
10:20-10:40 沼山峠→御池(バス)
10:40-11:00 車移動
11:00-12:00 日帰り温泉@檜枝岐村
12:30-14:00 前沢曲家集落観光@南会津町
19:00 東京着
素晴らしい風景や文化と出合える「ふくしま尾瀬」

関東圏から尾瀬へアクセスする場合、福島県側からより群馬県側からの方が近いのは事実。
ですが、その距離的ハードルを補っても余りある素晴らしい風景や、趣深い文化と出合えるのが「ふくしま尾瀬」の魅力です。
いつもよりほんの少し足を伸ばして、これまでとは違う新たな旅の風情を味わう。福島県側からまだ行ったことがないという方は、ぜひふくしま尾瀬の魅力を体験してみてください!
ふくしま尾瀬へのアクセス

作成:YAMA HACK
最後に、東京から福島県側の登山口「御池」と「沼山峠」へ向かう場合のアクセスについてもご紹介します。
マイカーの場合
大泉ICから東北道・東京外環道を進み、西那須野塩原ICで降りる。国道400、121、352号線をつなぎながら約2.5時間分車を走らせると御池駐車場に到着。
御池ー沼山峠間はマイカー規制のため、沼山峠へは御池発着のシャトルバスを利用する。
公共交通機関の場合
特急リバティ会津を利用すれば、浅草駅から1本で会津田島駅へ。会津バスの尾瀬横断バスに乗り、約2時間ほどで御池・沼山峠に到着。
※御池・沼山峠行きのバス乗り場は、2024年10月から会津高原尾瀬口駅から会津田島駅に変更になりました。
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