撮影:筆者(写真のカラーは実際の商品の色味と異なる場合があります)
アクティブインサレーションに“パンツ”があった!

登山用ウェアのカテゴリーで、すっかり定着したアクティブインサレーション。保温性と透湿性(なかには通気性)をバランスよく備え、寒さを防ぎながら行動中にオーバーヒートが起きづらいと、市場に出回りはじめた当初から注目を集め、各社が製品開発を競うほど今では人気のアイテムになっています。
そんな話題に事欠かないウェアに、パンツがあることをご存知でしょうか。実は筆者もこの記事を書くまで気に留めたことがなく、完全にノーチェックでした。
そして、冷静に考えると、寒さを防ぎながらオーバーヒートしづらいパンツは、なんだかとても調子が良さそう。なぜなら、下半身は上半身ほど頻繁にレイヤリングを変えられないから。一枚のパンツでつねに快適な状態を得られるのであれば、秋冬のクロージングシステムに取り入れない手はありません。
厳選した気になる4本をさっそくテスト

各社のHPを見てみると、トップスより商品数は少ないものの、気になるアクティブインサレーションパンツをいくつか発見。そのなかから、見た目や使われている素材などが異なる個性的な4本の穿き心地を実際にフィールドでテストしました!
今回テストしたパンツ
<Impression1>
モンベル/U.L.サーマラップ パンツ

伸縮する独自の中綿素材「ストレッチエクセロフト」と、同様にストレッチ性をもたせた軽量なオリジナルシェル素材「バリスティックエアライト」を組み合わせた一着。優れた動きやすさを誇り、軽量かつ抜群の透湿性が行動中のオーバーヒートを防ぎます。
運動中の行動着にも、停滞中の保温着にも良さそう!

身長182cm、着用サイズL
中綿のボリュームは中厚手くらい。シルエットもゆったりしていて、説明がなければ保温着として購入ししまいそうな見た目をしています。でも、行動時に使用することを考えて、ストレッチ性が高く、ちょっと動いただけでは蒸れを感じない、それでいてしっかり暖かさを感じるから不思議です。

こちらのパンツは、テストしたなかで唯一スタッフサックが付属します。この袋のサイズが小さいのに、中にしまうのはとてもラク。コンパクトに持ち運べて収納性が高いので、秋冬は行動着として、さらに春夏は携行できる保温着として、一年中活躍するポテンシャルの高さを感じました。
<Impression2>
アクシーズクイン/アクティブインサレーションパンツ

高い通気性をもつソフトシェル素材の裏側に、保温と吸汗性に優れるオクタ(Octa)繊維を配置。ウエストからあえてベルトやボタンを省くことで、バックパックを背負ったときにヒップベルトと干渉するストレスを感じづらい設計で作られています。
日常使いを視野に入れるならこれ!

身長182cm、着用サイズM
なんといってもデザインがいい。一目で「これ登山用のパンツでしょ」と本来の目的を見抜ける人はほとんどいないのではないでしょうか。それほどカジュアルな見た目をしているので、普段使いももちろんOK。シーンを選ばず着回しできるウェアは値段が高くてもコスパがいいです。

肝心の性能は文句なく、出発から帰宅まで一日中これを穿いて山を歩いてみたところ、当日は一桁にいくかいかないかくらいの気温で、それでも寒くないし暑くもない。アクティブインサレーションパンツの真髄を思い知らされました。
<Impression3>
パタゴニア/ナノエア・ライト・ボトム

パタゴニアが誇る「ナノエア」シリーズは、アクティブインサレーションの元祖と言っても過言ではなく、保温・通気・伸縮性を絶妙なバランスで備える同社の秋冬の定番アイテム。寒冷な天候で機能的に活躍する「ナノエア・ライト」は出力の高いアクティビティにも対応します。
テクニカルなアクティビティに最適

身長182cm、着用サイズM
パンツともいえるし、見方を変えると大きめのタイツともいえそうなほど、スリムなシルエットが印象的。裾がテーパードしているので足元の視認性が高く、足さばきの良さはテストしたなかで断トツでいいと感じました。

ハードシェルパンツとも合わせやすく、立体裁断で足上げも悪くない。スキーやスノーボード、クライミング要素の多い遊びにもよさそうです。そして、保温性と通気性のバランスの良さは、気温が一桁台のフィールドでリアルに体感。ちなみに、色の切り返しは実際に穿くとそこまで気になりませんでした。
<Impression4>
ミレー/ブリーズバリヤー パフ パンツ

「ブリーズバリヤー」は、ミレーの定番ウィンドシェルにも使われている高機能防風素材。防風性に加えて優れた撥水性を誇り、透湿性も備えます。その防風シェルの内側に中綿を封入して保温性をプラス。行動着、保温着としてもおすすめです。
穿いたときから分かる防風性の高さに感心

身長182cm、着用サイズM
テストを行った日はそこそこの強風だったのですが、このパンツを穿くと下半身だけが無風状態に。本当に風の影響を一切感じなくなり、寒さを感じるどころか穿いているだけでポカポカしてきて、防風性の高さを目の当たりにしました。

そのため、このパンツは保温着に近い感覚で扱ったほうがよさそうな印象。でも、しっかり寒い雪山では、逆にこの防風性の高さがうまく機能する予感もあります。ここまでしっかり風を防いでくれて、撥水性も高いので、ハイキング程度であればハードシェルパンツを穿く機会が減るはずです。
秋冬のアクティビティに快適なパンツはいかが?
テストした4本に共通して言えることは、当初の予想通り、どれも寒い時期に調子が良さそう。しっかり保温性があり、それでいて一般的な保温パンツのような熱がこもる感じはありませんでした。
その上でインプレッションをまとめると、以下のようになります。

私生活でも穿きたいなら、アクシーズクインの「アクティブインサレーションパンツ」ほぼ一択。逆に、山での動きやすさを重視するなら、スリムなパタゴニアの「ナノエア・ライト・ボトム」がおすすめです。
保温着としても活用したいなら、モンベルの「U.L.サーマラップ パンツ」 か、ミレーの「ブリーズバリヤー パフ パンツ」が有力候補。防風性の高いミレーのほうが対応温度域は低い印象を受けました。ただ、逆にそれは気温が高いシーンでは暑さを感じる可能性も。冬でもマイルドな環境でしか着用しない場合は、モンベルも積極的に検討してみるといいでしょう。
アクティブインサレーションパンツ、秋冬シーズンに活躍する新たな定番になるかもしれません。
今回紹介したアクティブインサレーションパンツ一覧
モンベル U.L.サーマラップ パンツ
サイズ | XS~XL (ユニセックス) |
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カラー | ブラック、カーキ |
重量 | 207g |
アクシーズクイン アクティブインサレーションパンツ
サイズ | S〜XL |
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カラー | ライフルグリーン、ブラック、アーバンシック |
重量 | 348g |
アクシーズクイン ウィメンズ アクティブインサレーションパンツ
サイズ | S〜XL |
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カラー | アーバンシック、ブラック、ビートル |
重量 | 279g |
パタゴニア メンズ・ナノエア・ライト・ボトム
サイズ | XS~XL |
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カラー | パインニードルグリーン、ブラック |
重量 | 249g |
パタゴニア ウィメンズ・ナノエア・ライト・ボトム
サイズ | XXS~XL |
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カラー | パインニードルグリーン、ブラック |
重量 | 261g |
ミレー ブリーズバリヤー パフ パンツ
サイズ | XXS〜XL(ユニセックス) |
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カラー | ブラック、インディアン |
重量 | ー |