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モンテイン ライトスピードジャケット収納袋

元祖U.L.ウィンドシェル『モンテイン/ライトスピードジャケット』|定番道具のモノ語り#18

質実剛健、丈夫さが必要な機能である山道具。だからこそ発売から10年以上も変わらない道具や、10年以上問題なく使い続けられる定番の山道具があります。そんな山道具の中から、ライター・ポンチョが愛用してきたモノを紹介。

今回は第18回、軽量ウィンドシェルジャケットの元祖『モンテイン/ライトスピードジャケット』を、20年以上使ってわかったことです。

目次

アイキャッチ画像撮影:ポンチョ

モンテインからはじまったU.L.ウィンドシェルの流れ

モンテイン ライトスピードジャケット
撮影:ポンチョ

はっきりとは思い出せないのですが、2000年代前半に購入したのが、今回紹介するモンテイン/ライトスピードジャケットです。

最近ではレインウエア以上に山で活躍することから、多くのハイカーが1年中装備する定番ウエア、ウルトラライトなウィンドシェルの元祖がコレです。

モンテイン ライトスピードジャケット 修理した袖口

撮影:ポンチョ

20年以上も愛用しているため、このライトスピードジャケットは、さすがにかなりヘタってきています。

胸のロゴは取れ、袖口のゴムが伸びてしまったので縫い直し、裾のゴムシャーリングも伸びてカット。本体生地のパーテックス マイクロライト(確か……)も、数百回の洗濯で薄くなっているように感じます。
現在の実測総重量は165gです。

驚いたのはリンゴ大の収納サイズ

モンテイン ライトスピードジャケット収納袋
撮影:ポンチョ

「総」重量と書いたのは、手のひらサイズのアクセサリーカラビナ付き収納袋の10gも含めて計測したからです。

近年は手のひらに収まるコンパクトな収納サイズで、透けるほどの極薄素材のウィンドシェルが多く発売されているので、上の写真を見ても驚く人は多くないでしょう。

でも2000年頃、薄く、しなやかなパラシュート素材を活用したモンテイン/ライトスピードジャケットをはじめとする同ブランドのウィンドシェルの軽さには、とても驚かされました。
なにより、リンゴ大の収納サイズは、他にはないコンパクトさでした。

モンテイン フェザーライトスモック

提供:MONTANE

ちなみにモンテインが超軽量ウィンドシェルを開発したのは1999年。フェザーライトスモックという、シンプルなつくりによって重量100gほどの軽さを実現したウィンドシャツ的なアイテムです。その広告に使われたのが、上の画像。収納サイズのコンパクトさを口にくわえて表現するという、なかなか攻めたビジュアルです。
モンテインの公式HPには、1993年創業以来のヒストリーのひとつとして、フェザーライトスモック本体がわかる製品画像や着用画像ではなく、この画像が掲載されていました。

この画期的な軽量コンパクトさを装備したフェザーライトスモックの登場は、アウトドアシーンにとってもエポックメイキングなものでした。

例えば2002年にパタゴニアが現在のフーディニジャケットの前身モデルのドラゴンフライ・ジャケットを、2004年にはモンベルが極薄素材のバリスティックエアライトを使用したU.L.ウインドジャケットを発売。それらは、モンテインが提示したアイデアをベースにして進化、深化させたモノ。現在まで続くウルトラライトなウィンドシェルの流れは、モンテインがつくったのです。

ウィンドシェルとしての必要な機能を求めて選択

モンテイン ライトスピードジャケット
撮影:ポンチョ

さて、私がライトスピードジャケットの購入を検討したときのことは、はっきりと覚えています。
当時、ライトスピードジャケットと、最軽量のフェザーライトスモックのどちらにするかで迷っていました。

フェザーライトスモックは、軽量化のために前立てはハーフジップ、裾にアジャスターコードもなく、フードも装備していませんでした。上記した通り、それはシャツのようなシンプルなモノ。

一方、私が購入したライトスピードジャケットは、フルジップで裾にアジャスターコード付き。背面側がかなり長めで、登山やトレランだけでなく、自転車向きでもありました。だからなのか、使用しないときにバタつかないようにフードは襟のなかに丸めて収納できる仕様です。

モンテイン ライトスピードジャケット
撮影:ポンチョ

さらにフードにはフィット感を調節できるアジャスターコード、前立てには当たりのソフトなマイクロフリース、フロントジッパーから冷気が侵入するのを防ぐフラップも配されていました。

胴体に当たる冷風を防ぎ、必要最低限の保温機能を装備したのがフェザーライトスモック。
対して、熱が逃げやすい頭部や首元も胴体とともにガード。強い風、激しい動きでもウエア内部へ冷気を浸入させず、フィット感を調節できて動きを邪魔しないライトスピードジャケット。

モンテイン ライトスピードジャケット

撮影:ポンチョ

最終的に私は、シンプルさ、そして軽さではなく、ウィンドシェルとして十分な機能とコンパクトさを装備しているライトスピードジャケットを選びました。

それまでにない薄い素材でペラペラさに少し不安がありましたが、もしそれでも岩稜帯を吹き抜ける冷風に対応してくれるのであれば、最良のウエアになると期待したからです。

山でテストをしてみて、わかったこと

モンテイン ライトスピードジャケット
撮影:ポンチョ

その選択が正しかったことは、直後の山行で確認できました。

10月下旬の八ヶ岳縦走。山頂付近は紅葉のピークを終え、最低気温は0℃近くまで下がる時期でした。しかし、気温が低くても晴れて陽光に照らされると、汗ばむ暑さ。レインウエアのジャケットを厚手のロングスリープシャツの上に重ねると、暑い……。

そこで、ウィンドシェルのライトスピードジャケットに変更。フィルムがラミネートされていないため、ムレにくく、ウエア内がオーバーヒートすることがありません

歩いて動いていれば、体温はちょうどよい温かさを保てました。

モンテイン ライトスピードジャケット
撮影:ポンチョ

しかし、硫黄岳山頂へと着くと、森林限界を越え、強い北からの風が直接当たり、あっという間に冷えてきました。薄手で通気性、伸縮性の高いフリースジャケット、現在ならパタゴニアのR1フーディのようなテクニカルフリースを着たいところですが、2000年前半はまだ登場したばかり。当時の私は、昔ながらの両面起毛された中厚手のフリースを重ね着。その上に、レインウエアを合わせてみると、ゴワゴワして動きにくく、しかも少し動くとジンワリと暑くなってくきます……。はい、すぐにムレはじめました。

そこでライトスピードジャケットに変更。するとレインウエアと違ってソフトな素材なのでゴワゴワせず、適度なゆとりが動きの悪いフリースジャケットとの相性のよさを感じさせます。
また薄手の素材ながら風をしっかり遮断。保温着のフリースジャケットとの組み合わせは、インサレーションウエア的でした。もちろん、ムレもレインウエアほどは感じません。

ペラペラ素材への心配は杞憂!フード付きがベスト!!

撮影:ポンチョ

ライトスピードジャケットの選択時、私にとってはじめての薄手素材のウエアだったので、それがどんなものなのかを知る“お試し感覚”が強くありました。そもそもウィンドシェルとしての機能も、晴れていて風が吹いてきたときに、少し冷えを抑えられる程度ではないかとも考えていました。もし着用してみて寒ければ、レインウエアに着替えればいいやと思っていたのです。

でも、実際には、レインウエアからライトスピードジャケットに替えたほうが、調子がよかったのです。レイヤリングによって、かなり幅広い温度域で快適さを提供してくれます。風速にもよりますが、0℃~20℃くらいです。

撮影:ポンチョ

そしてその幅広い温度域への対応を可能にするのが、フードです。薄手素材であっても防風性が想像以上に高く、風の冷たさを感じさせません。頭部へのフィット感を高めるアジャスターコードが装備されていれば、風の進入もほとんどなく、その保温性は十分。しかしもしフードを装備していないジャケットで風に吹かれたら……風速にもよりますが、気温10℃以下になると、冷えを感じるでしょう。

ウィンドシェルがその機能を十分に発揮するには、フード装備はマストです。

ウルトラライトでも、当たり前に10年着用可能

モンテイン ライトスピードジャケット 素材
撮影:ポンチョ

この八ヶ岳での経験を契機に、私はレインウエアをウィンドシェル代わりに着用することが、ほとんどなくなりました。私がトレイルランニングを開始したのも、この時期だったということもあります。レインウエアの携行が必須のトレイルレースがあり、防風防寒目的でレインウエアを着ると、汗でインナーはビチョビチョ。しかしウィンドシェルであれば、汗はかいても、ビチョビチョにまではなりませんでした。

この不快さの違いは、長い距離、時間の移動になるほど、パフォーマンスに大きな差を生みます。

だからこの20年、トレイルランニングに限らず、日帰り~縦走登山で防風防寒着として着用しているのは、モンテイン/ライトスピードジャケットをはじめとする、ウィンドシェルです。

モンテイン ライトスピードジャケット
撮影:ポンチョ

私は現在、ウィンドシェルを5着所有。ライトスピードジャケットは、寒い季節のランニングと街着がメインとなっていますが、それでもまだ現役です。20年程前、このペラペラ素材のウエアが、これほど長く着続けられるモノだとは思っていませんでした。それこそ簡易的なウエアで、5年くらい着られればいいだろうというレベルで考えていました。

ウルトラライトなウエアや道具は、耐久性や強度への心配がつきものです。しかし、ライトスピードジャケットをはじめとするウィンドシェルを、私同様に、整備された登山道を歩き、登り、走り、街着で日々活用するなら、10年くらいは問題なく着続けられるでしょう。

私にとっては、もっとも使用頻度が多いのに、長く使えている、登山道具です。

それでは皆さん、よい山旅を!