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シートゥサミット Xシリーズ

“スタッキングは正義”という固定観念を壊してくれた『シートゥサミット/Xシリーズ』|定番道具のモノ語り#14

質実剛健、丈夫さが必要な機能である山道具。だからこそ発売から10年以上も変わらない道具や、10年以上問題なく使い続けられる定番の山道具があります。そんな山道具の中から、ライター・ポンチョが愛用してきたモノを紹介。

今回は第14回、調理器具の軽量コンパクトなスタッキングを可能にするシリコーン製の蛇腹カップやプレート、ポットで知られる『シートゥサミット/Xシリーズ』を使い続けたエピソードです。

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目次

アイキャッチ画像撮影:ポンチョ

発見や驚きが心を動かす。道具選びの基準

シートゥサミット Xシリーズ
撮影:ポンチョ シートゥサミットのXシリーズ。左からX-ポット ケトル2.0、X-カップ、X-マグ、X-シール&ゴー 

登山時にどんな道具を装備するか?

多くの人は、YAMA HACKのようなWEBマガジンや雑誌を見て候補を選択。ショップで店員さんに話を聞いたり、最近であれば動画やブログ、レビューを参考にしたりして、購入するモノを決めていると思います。

ちなみにアウトドア道具の記事を書いているライターの私は、メーカーのホームページにあるカタログを見て選択。WEBマガジンや雑誌のレビュー記事を書くために実際に使用。その結果によって、自身が購入するモノを決めています。

シートゥーサミット Xシリーズ
撮影:ポンチョ

つまり一度使ってから、どんなものかをわかって購入しているんです。しかも、かなり多くのモノを使って比較検討しているので、自分好みを見つけやすくもあります。

とはいえ、何度かこの「定番道具のモノ語り」の記事内でも書きましたが、私は自分の使い方を手に入れた道具に求めるのではなく、その道具がどのように使われることを想定しているかを、第一に考えています。自分好みといっても、道具を自分に合わせるのではなく、自分を道具に合わせることが多いんです。

だから、こんな機能があったの!? こういう風に使えば便利なんだ!と、発見や驚きがある道具を手に入れています。それが私の好みであり、道具選びの基準といえます。

「Xシリーズ」は、それまで見たことのなかった道具

シートゥサミット Xシリーズ
撮影:ポンチョ

さて、今回取り上げるオーストラリアの総合アウトドアブランド<シートゥサミット>のX-マグをはじめとする「Xシリーズ」。ここまでの画像にある、カップやマグ、ケトルに加えて、実は小型のケトルも持っています。

オレンジカラーのX-マグを手に入れたのは2010年頃。シリコーン製で本体部分が蛇腹状に折り畳め、薄く収納できることができるのが特長です。

当時から、<コフラン>や<ウィルドゥ>というブランドにシリコーン的な樹脂製の折り畳みカップがあり、スッタッキング性に長けていましたが、持った時の安定感にやや欠けているため、購入に二の足を踏んでいました。

そんな時に登場したのが「X-マグ」です。

シートゥサミット X-マグ
撮影:ポンチョ X-マグ

選んだ理由は、明快。アウトドア用のカップで、蛇腹仕様で薄く折り畳めるモノを、それまで見たことがなかったから!

しかも飲み口部分に補強されたナイロンリングは、飲み物を入れた際に手に取ると安定感があり、樹脂製折り畳みカップの不満も解消されていたからです。

さらに、薄く折り畳めるX-マグは、ソロ用のクッカー内にバーナーやガス缶、カトラリーと一緒にスタッキングがしやすかったことも、使いたいと思わせる大きな理由でした。

しかし、間もなく流行ったアルコールストーブでの調理システムに合わせた、軽量小型のクッカーには直径が大きく、収納できなくなりました。それでもクッカーの収納袋内には邪魔にならない薄さで収まるので、そのまま使用することに。

進化は続き、より使いやすいものも登場

シートゥーサミット Xシリーズ
撮影:ポンチョ 左がX-,マグ、右がX-シール&ゴー

とはいえスタッキングは、クッカー内にすべての調理器具を美しく収納することも、楽しみのひとつです。

そんな要望を汲んでなのか、X-マグに続いて、小型クッカーの大きさに合わせたと思われる「X-カップ」という直径の小さなモデルが登場。X-マグ11cmからX-カップ9.5cmへ!

さらに続いて、「X-シール&ゴーS」が登場。直径は9.4cmと、わずかですが小さくなり、よりスムーズなスタッキングが可能に。しかもカップとしてだけでなくフードコンテナとしても使えるように、スクリュー式のフタが装備されたモデルです。

何度も、買い替えを考えましたが、X-マグが使えなくなったわけではないので……と見送り。しかし、“買い足しの言いわけ”を見つけてしまったのです。

カタログにも載っていない機能を発見!シリコーン素材の保温力

シートゥサミット X-シール&ゴー
撮影:ポンチョ X-シール&ゴー

フタが付いて、スナック菓子やフリーズドライフードを入れて持ち運べるだけなら、手持ちのX-マグのままでもよかったんです。けれども、雑誌のレビュー記事で、ダブルウォールの保温カップの保温力を試すレビューをした際に、ふとX-シール&ゴーを思い出し、「フタ付きだから、もしかしたら保温力が通常よりもアップするんじゃないか?」とテストしてみたところ……。

金属製のシングルウォールのカップよりも格段に保温力があり、金属製のダブルウォールの保温カップと比べても、フタなしであれば、それに近い保温力があるという結果が出たのです。

シートゥーサミット Xシリーズ
撮影:ポンチョ こちらは小ぶりなX-カップ

耐熱温度の高いシリコーンという素材は、つまり断熱性も装備。X-シール&ゴーはフタも装備しているので、閉めておけば、中に入れた飲み物の温度の低下をさらに防げるものだったのです。

メーカーのカタログにも、他のいろいろなレビューにも一切書かれていませんが、保温テストをしてみたら、一定の保温力を装備していることを知ってしまいました。

ところで、シリコーン製の蛇腹カップは、近年では100円ショップ等でも販売しています。それがどんなものなのか試しに買って、使ってみたことがあります。たまたま私が手に入れたものがそうだったのかもしれませんが、それらは下部が細くて不安定。容量も小さく、使い勝手は比較にならないモノでした。

わかっていたけれども、使ってみて、よさに納得したこと

シートゥサミット X-シリーズ
撮影:ポンチョ

私が選ぶ道具の好みは、発見や驚きです。

約10年間、X-マグだけに留めていましたが、この3年余でX-シール&ゴー、X-カップ、X-ポット ケトル2.0と、立て続けにXシリーズのアイテムを手に入れました。

X-ポット ケトル2.0まで手に入れたのは、主催する登山イベントで、最大5人の参加者+私と妻分の湯を沸かすためです。このケトルは一度に1.5Lの湯を沸かせます。これまで小型クッカーで3回くらいに分けて湯沸かしして、お昼ご飯時にカップ麺等に使う湯を提供していたのですが、コレなら2回で十分。

しかも同サイズの金属製クッカーだとかなりかさばりますが、薄く畳めるこのポットは、パック内に無駄なスペースを作らずに済みます。これはかなり大きな長所です。

底部はバーナーの火を無駄にしない広い面積があり、深型で底部が小さなクッカーよりも効率的に湯沸かしができます。

こうした機能は、使う前からわかっていたことでしたが、実際に使い込んでみると、想像以上に有効。よくできているなぁと、感心しました。

X-クッカー ケトル
撮影:ポンチョ

そして、今回の記事内の画像にはありませんが、「X-ポット ケトル1.3」という、ひとまわり小さなケトルも購入しました。

X-ポット ケトル2.0を使うまで、ケトルやクッカーはスタッキングすることを当たり前だと考えていました。でも、シビアに装備の軽量コンパクト化を求めるような登山でなければ、スタッキングにこだわらず、コーヒー道具とバーナー、ケトルとカップを大きめのスタッフバックに入れてコーヒーセットとして持ち運ぶのも、「あり」だと思えるようになったんです。

スタッキングが絶対という考えは、いつの間にか私の中にできていた固定観念なんだと、このケトルに教えてもらいました。

シートゥサミット Xシリーズ

撮影:ポンチョ

軽さを求めたソロ用700ml容量の深型ULクッカーは、シンプルな美しさがあります。だから、そうした道具立てでコーヒーセットを作ってもいます。

一方で、X-ポット ケトル1.3は、火に掛けた佇まいがなんとも可愛らしいんです。森のなかの陽だまりの下では、ULクッカーでの湯沸かしよりも断然ほのぼのと感じられます。

道具って、それぞれにまるで違う時間、空気が流れるんです。だから、道具選び、道具を使う時間は、楽しいんだと思います。

2024年、Xシリーズはリニューアルして「フロンティアULシリーズ」に!

フロンティアULケトルクック[1P]3点セット

提供:ロストアロー フロンティアULケトルクック[1P]3点セット

2007年の発売以来、大きな仕様変更もなく、ラインナップを増やしながら、定番の道具として多くの山好き、アウトドア好きに使われてきたXシリーズ。なんと2024年春、フロンティアULシリーズにリニューアルします。これまで多くのユーザーから求められた機能を、新たに装備させたそうです。

上の画像のアイテムは、新しいラインナップのひとつで「フロンティアULケトルクック[1P]3点セット」。奥のフロンティアULカップは、旧X-マグに近いサイズながら、本体中央部にもナイロンリングを備え、持ちやすさが向上。左のフロンティアULケトル 1.3Lは、樹脂製だったフタがアルミ製に。耐久性がグッとアップしそうです。

シートゥサミット フロンティア スタッキング

出典:seatosummit

また、旧X-ポット ケトル1.3と2.0は折り畳んだ状態の内部に、同じく折り畳んだX-マグかX-カップの2個を収納=スタッキングできました。

それが、このフロンティアULケトルクック[1P]3点セットでは、上の画像のようにケトル内にカップを収納。さらに、ボウルの上にケトルを重ねてスタッキング。内部にはまだ余裕があるので、カップを追加して収納することもできそうなんです。

スタッキングにこだわらない……そう思うようになったと書いたばかりですが、コレはとてもイイ!重量は、3点合わせて316g。4月中旬に発売されたばかり。

フロンティアULボウルの直径は15cm。調べてみるとX-ボウルも同サイズ。だとしたら、どちらも今使っている直径15.5cmのX-ポット ケトル1.3にもギリギリ美しくフィットしてくれるんじゃ……そうでれば、ボウル欲しい……いや、いや、もう少し使い込んで、追加で買う必要があるかどうかは考えることにします。

シートゥサミットなので、また10年くらいは販売を継続してくれるでしょうから。

それではみなさん、よい山旅を!

Xシリーズ