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健脚ルートとして知られる「笠ヶ岳」とは?

標高 | 所在地 | 最高気温 (6月-8月) | 最低気温 (6月-8月) |
2,898m | 岐阜県高山市 | 17.1℃ | 6.2℃ |
笠ヶ岳(かさがたけ)は、北アルプス飛騨山脈に位置する日本百名山。中部山岳国立公園内にあり、山全体が岐阜県含まれます。丸いお椀型の山稜から山頂部が突き出た特徴的な姿で、遠くの立山連峰や御嶽山などからも、笠ヶ岳とわかります。
古くから親しまれている笠ヶ岳
江戸時代初期に円空上人によって開山された笠ヶ岳は、古くから地元の人々に親しまれている山。春になると、山頂直下あたりを頭にした「馬の雪形」が現れて、田植の時期を知らせる目印になっています。
笠ヶ岳登山は健脚者向き?

笠ヶ岳は、登山口から片道8~10時間と所要時間が長く、1900m近くの標高差があるため、一般的には健脚者向きと言われます。しかし、行程やコースを工夫すれば登れます。今回は初級〜中級者向け登山コースも紹介しています。
笠ヶ岳の見どころや魅力は?
たくさんの見どころがある「笠ヶ岳」。その中から、いくつか紹介します。
高山植物の宝庫「新・花の百名山」

笠ヶ岳は高山植物の宝庫としても有名。田中澄江の『新・花の百名山』にも紹介されており、7月初旬から8月下旬にかけ、杓子平を中心にチングルマやハクサンイチゲ、ミヤマキンポウゲ、イワウメなどが咲き乱れます。
登山者が比較的少ない静かな山

北アルプス山域の端の方にある笠ヶ岳は、登山道が少々ハードであること、主要な縦走路から外れていることから、比較的静かな山として知られています。人気の山が多い北アルプスの中、特に夏のピーク時に、人を避けたい人にはおすすめです。
素晴らしい槍ヶ岳・穂高連峰の展望

笠ヶ岳は、槍ヶ岳・穂高連峰と適度な距離があるため、間近に雄大な姿全体を見渡せます。また、西に位置するため、槍ヶ岳・穂高連峰が、赤く夕日に染まる姿や、朝焼けの中の槍ヶ岳・穂高連峰などの絶景を味わえます。この景色を見るために、笠ヶ岳に登る人も多くいます。
笠ヶ岳の天気と地図をチェック
笠ヶ岳へ行く前に天気をチェックしましょう。また、事前に地図を用意してルートを確認してください。
笠ヶ岳のふもと(高山市)の10日間天気
日付 | 03月24日 (月) | 03月25日 (火) | 03月26日 (水) | 03月27日 (木) | 03月28日 (金) | 03月29日 (土) | 03月30日 (日) | 03月31日 (月) | 04月01日 (火) | 04月02日 (水) |
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天気 | ![]() 曇一時雨 | ![]() 晴時々曇 | ![]() 曇のち晴 | ![]() 晴のち雨 | ![]() 雨時々曇 | ![]() 曇一時雨 | ![]() 曇時々晴 | ![]() 曇時々雨 | ![]() 晴 | ![]() 晴時々曇 |
気温 (℃) | 19 1 | 21 3 | 18 9 | 18 4 | 16 12 | 8 3 | 6 0 | 9 0 | 12 -1 | 15 0 |
降水 確率 | 80% | 40% | 40% | 70% | 90% | 70% | 30% | 50% | 40% | 40% |
データ提供元:日本気象協会
笠ヶ岳の登山指数
日付 | 03月25日 (火) | 03月26日 (水) | 03月27日 (木) | 03月28日 (金) | 03月29日 (土) |
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登山 指数 |
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登山指数の留意点
登山をするための快適さを、山頂や山麓の気象条件から、気象学的知見を用いて登山指数A~Cで表現をしています。降水量、風速、雲量などを総合的に考慮し、気象条件を独自計算したものです。
ただし、以下のリスクは含まれておりません。
- 雷の発生の可能性
- 前日の天気による道のぬかるみ
- 局地的大雨
- 土砂災害の発生の可能性
- 雪崩の発生の可能性
- 噴火の可能性
- 積雪の有無
- 濃霧
- 低温または高温
- 虫やヒルなどの発生状況
山の天気は大きく変わりやすいため、登山指数はあくまで目安としてご利用頂き、最新の気象データや天気図、各登山道情報をご確認ください。
なお、本情報に基づいた行為において発生したいかなる人物の負傷・死亡、所有物の損失・損害に対する全ての求償の責は負いかねます。ご了承下さい。
データ提供元:日本気象株式会社
笠ヶ岳周辺の山と高原地図
昭文社 山と高原地図 槍ヶ岳・穂高岳 上高地
初級者におすすめ|弓折岳経由縦走コース【2泊3日】

最高点の標高: 2866 m
最低点の標高: 1098 m
累積標高(上り): 4773 m
累積標高(下り): -4773 m
- 【体力レベル】★★★★☆
- 2泊3日
- コースタイム:17時間5分(2泊3日)
- 【技術的難易度】★★★☆☆
- ・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要
登りは、急登の「笠新道」を避け、ちょっと遠回りの小池新道を経て、鏡平小屋へ宿泊。Uターンするように、弓折岳から縦走路を歩き笠ヶ岳へ登頂します。
全体の行程と宿泊数は増えますが、1日あたりの行程が比較的短く、急登もないので、体力に不安がある初級者〜中級者におすすめのコースです。下山は、笠新道を下ります。
新穂高温泉から小池新道へ

新穂高温泉を出発し、左俣林道を進み、最短ルートの笠新道へは向かわず、そのまま小池新道へ。小池新道はよく整備され、「北アルプスでもっとも歩きやすい」と多くの登山者に好評の登山道。ゆるやかな登りが続きます。
鏡平へ到着

小池新道を3時間30分ほど登ると、鏡平へ到着。鏡平の「鏡池」は、水面に穂高の山々が鏡のように映ることからその名前が付いている北アルプス屈指の撮影スポットです。池のそばに建つ「鏡平小屋」で宿泊します。
弓折乗越から縦走路へ

鏡平小屋を出発し、さらに小池新道を登ると弓折乗越へ。ここは双六岳方面と、笠ヶ岳方面の分岐。眼下に鏡平小屋を見ながら遠くに槍・穂高を展望します。ここからは楽しみな笠ヶ岳への縦走のスタートです。
ライチョウに会えるかも!弓折岳稜線

弓折岳(ゆみおれだけ)から大ノマ岳、抜戸岳(ぬけどだけ)を越えて行きます。それなりにアップダウンはありますが、アルプスの主稜線らしい高度を感じながらの天空の散歩道。特に弓折岳稜線は、ハクサンイチゲなどの高山植物と共にライチョウにも遭遇できるスポットです。
お花畑が広がる秩父平

大ノマ岳から抜戸岳への縦走途中、稜線を外れ、草原上の秩父平を通ります。ここは、チョウジギク、コガネギクやコゴメグサが咲くお花畑。花が咲く中を歩いていくので、踏まないように慎重に歩きましょう。
抜戸岳から笠ヶ岳への稜線歩き

抜戸岳付近からは再び稜線へ。途中、笠新道分岐を通過し、笠ヶ岳まで大展望の稜線歩きです。
笠ヶ岳山頂へ到着

笠ヶ岳山荘を通り過ぎ、15分程度で笠ヶ岳山頂へ。 山頂からは遮るものがない360度の絶景!天候が良ければ、槍ヶ岳・穂高連峰をはじめ、南アルプスの山々、遠く富士山まで望めます。
山頂から一旦通り過ぎた、笠ヶ岳山荘へ下り、宿泊します。
笠ヶ岳山荘からの展望を楽しもう

宿泊場所の「笠ヶ岳山荘」からは、夕日に赤く染まる槍・穂高連峰。夜は満天の星、翌朝、穂高連峰からのご来光を拝めます。他では見ることができない、素晴らしい展望を楽しみましょう。
笠ヶ岳山荘を後にし笠新道を下山

笠ヶ岳山荘を後にし、縦走路を戻り、笠新道分岐より、笠新道を下ります。笠新道は有名な急登で、今回の登りには避けていた道。下山路として使います。途中、杓子平のお花畑などありますが、その後は、樹林帯の急坂。慎重に下りましょう。
笠新道を下り終えれば、林道を1時間歩き、新穂高温泉に到着です。おつかれさまでした!
急登ありの健脚向け最短コース|笠新道コース【1泊2日】

最高点の標高: 2866 m
最低点の標高: 1098 m
累積標高(上り): 4466 m
累積標高(下り): -4466 m
- 【体力レベル】★★★☆☆
- 1泊2日
- コースタイム:15時間15分(1泊2日)
- 【技術的難易度】★★★☆☆
- ・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要
笠ヶ岳への最短コース。槍ヶ岳・穂高連峰をバックに杓子平のお花畑を歩く、絶景の登山コースですが、途中に山小屋がなく、急登で1日のコースタイムが長いため、体力に自信がある健脚向けの上級コースです。
新穂高温泉を出発し笠新道を登る

新穂高温泉を出発し、左俣林道を進みます。笠新道登山口より、いよいよ本格的な登山道の始まり。樹林帯の中、標高差1100mの急登をひたすらジグザグに登り続けます。ここが頑張りどころです。
樹林帯を抜けて杓子平のお花畑

登り続けて4時間以上、樹林帯を抜けると、徐々に視界が広がり、少しずつ展望が良くなります。さらにジグザグに登っていくと、杓子平に到着。ここは、夏にはチングルマやコバイケイソウなどのお花畑。遠く穂高連峰をバックに広がるお花畑は、ここまでがキツかった分、天国のようです。
大展望の稜線を歩き笠ヶ岳を目指す

杓子平から2時間ほど、再び急坂を登れば、笠新道分岐。やっと主稜線に到達です。ここからは多少のアップダウンはあるものの、今までのような急登はありません。展望が良く気持ちのいい稜線歩きを楽しみながら、笠ヶ岳に近づくにつれ、傾斜が増し、山頂が迫ってきます。
笠ヶ岳山頂へ到着

笠ヶ岳山荘を通り過ぎ笠ヶ岳山頂へ。絶景の山頂の一角に、仏像が安置されている小さな祠があります。無事に登山できたお礼と、これからの安全を祈願しておきましょう。
翌朝は、往路を下山します。
笠ヶ岳登山口<新穂高温泉>へのアクセス情報
クルマの場合
中部縦貫道「高山」IC→国道158号線ー国道471号線ー県道475号線ー新穂高温泉
公共交通機関の場合
JR高山本線「高山」駅ー高山濃飛バスセンターより「平湯・新穂高線」に乗車ー「新穂高温泉」バス停下車
濃飛バス
笠ヶ岳の山小屋情報
笠ヶ岳山荘

笠ヶ岳山頂直下にある山小屋。ここからの展望は素晴らしく、人気の山小屋です。キャンプ場も併設されているので、テント泊も可能。
鏡平山荘

弓折岳山稜下に位置する鏡平山荘は、鏡池や草原が広がる鏡平に位置する山小屋。先代の小池義清氏は「池に映る槍・穂高に惹かれて小屋を建てた」そうで、鏡池に映る槍ヶ岳と穂高連峰の姿は、写真スポットとして多くの登山者がカメラを構えます。
周辺の立ち寄り情報

今回紹介した両コースとも、出発点は新穂高温泉。今回の笠ヶ岳や双六岳、穂高連峰など、北アルプスの登山基地になっています。登山後の日帰り温泉や食事、登山前後の宿泊にも利用できます。
ひがくの湯と登山者食堂

食事や日帰り入浴が可能。鉄道ジオラマまで置いてあり、鉄道模型の運転が楽しめます。時間が余ったら遊んでみては?
前後泊にはホテルやキャンプ場もあって便利
ホテルや民宿、キャンプ場などが多くあり、スタイルや料金で選ぶことができます。詳細は、新穂高温泉観光協会公式サイトで。
新穂高温泉観光協会|公式サイト
静かな北アルプスなら笠ヶ岳へ

笠ヶ岳は行程が長く、簡単には登れませんが、その分、山頂に立った時の達成感は格別です。また、雄大な展望の山稜歩き、途中のお花畑など、見どころいっぱい。夏のピーク時、たくさんの登山者で賑わう北アルプス、静かな山歩きをしたいなら笠ヶ岳がおすすめです。