背負い心地をカスタムできる軽量ザックが登場!

軽量ザックで知られるアメリカのザックブランド<グラナイトギア>から、2023年春に新しいモデル「ヴァーガ3」がリリースされました。
こちらは、従来からあるヴァーガシリーズの3世代目に当たるモデル。ブランドを象徴する、荷重を分散してコンプレッションストラップの縫い目の破断を防ぐアーチ型のウイングパネルを備え、雨蓋(トップリッド)と背面フレームを廃したデザインが1世代目から続く見た目の特徴。そこに、シリーズに共通する軽さを踏襲しつつ、新しい背面システムを採用することで背負い心地が大幅にアップしました!
ヴァーガ3の基本スペック
【ヴァーガ3/55】¥36,300
容量:55L/重量:760g(535g※)/コンフォートレンジ:16kg/適応背面:46〜53cm
※ヒップベルトを取り外した状態
【ヴァーガ3/55 ウィメンズ】¥36,300
容量:55L/重量:760g(535g※)/コンフォートレンジ:16kg/適応背面:38〜46cm
※ヒップベルトを取り外した状態
【ヴァーガ3/26】¥30,800
容量:26L/重量:570g(525g※)/コンフォートレンジ:9kg/適応背面:46〜53cm
※ヒップベルトを取り外した状態
グラナイトギアはULザックのパイオニア

歯車(自転車のギア)のゴロマークでお馴染みのグラナイトギアは、1986年にアメリカのミネソタ州で誕生したブランドです。UL系とも呼ばれる軽量かつシンプルなザックが国内で人気になる以前から、背負い心地を意識しつつ軽さを求めたウルトラライト・バックパックを数多くリリースしてきました。
ちなみに、ブランド名のグラナイト(GRANITE)とは“花崗岩”のこと。ブランド名には“花崗岩のように頑丈なギアを作ろう”という創業者の想いが込められています。
快適な背負い心地を生み出す2つのポイント
ヴァーガ3の注目ポイントは、アップデートされた背負い心地。ヴァーガ3から新たに搭載されたディテールをひとつずつ見ていきましょう。
①体型や肩幅に応じて背面サイズを変更可能

ポイントのひとつ目は、背面長を簡単に調整できるシステム。ヴァーガ3はショルダーストラップの取り付け位置を変えることで、背面の長さを変更できます。
さらにヴァーガ3は背面の長さだけでなく、肩幅の位置も調整可能。見ると、肩幅が狭い人には黄色いデイジーチェーン(内側)、肩幅が広い人にはオレンジ色のデイジーチェーン(外側)が用意されているのがわかります。
体型に合わせて、どちらのデイジーチェーンを使うか選んだのち、フックの取り付け位置を上下させることで、体にザックをジャストフィットさせることが可能です。
②2本のチェストストラップでフィット感が優れる

2つ目のポイントは、2本あるチェストストラップ。ザックのチェストストラップは1本あるのが一般的ですが、ヴァーガ3はあえて2本で設計。チェストストラップを2本にすることで、ショルダーハーネスのフィット感を高めるとともに、胸で支えるザックの重さをうまく分散させています。
ヴァーガ3/55はさらに豊富な機能を搭載
紹介してきた2つのポイントは、ヴァーガ3/55と26に共通する特徴です。これがヴァーガ3/55になると、さらに2つの機能が加わります。
①長さを調整できるヒップベルト
ヴァーガ3/55にはヒップベルトがあり、さらに長さを調整することができます。取り外せるヒップベルトは真ん中が折りたたまれており、ベルクロテープを剥がすと長さを伸ばすことが可能です。

ヒップベルトが短くて腰回りを包む感覚が得られないときは、長さを伸ばしてちょうどいいサイズに調整しましょう。
②内側にスリーピングマット用のスリーブ付
ヴァーガ3/55は、内側にスリーピングマットを収納するためのスリーブが備わっています。軽量化を意識したザックは、背面にフレームを備えていないモデルが多く、うまくパッキングしないと背負い心地が悪くなってしまうことも。その欠点を解消するために、軽量ザックではスリーピングマットをフレームの代わりに使う方法が広く知られています。
ヴァーガ3/55もそのアイデアに習い、スリーピングマットを背当てとして使うことを推奨。専用のスリーブがあることで、行動中にスリーピングマットが適切な位置からずれてしまう心配がありません(ヴァーガ3/26はスリーピングマットを丸めて中に入れる仕様です)。
テント泊装備を詰めて背負ってみた!
ヴァーガ3は背負い心地の良さが特徴。とはいえ、実際に荷物を入れて試してみないと、本当の背負い心地はわかりません。
そこで今回は、ヴァーガ3/55に私物のテント泊装備を詰めて背負ったときにどう感じるか、フィールドでテストしてみました。水と食料を省いた総重量は7kgくらいです。
テント泊の荷物を背負っても、背負い心地は悪くない
パッキングするときのコツは、軽量ザックだからこうするといった特別な方法はありません。一般的にいわれている、軽くて使用頻度の低いものは下、重くて使用頻度の高いものは上を忠実に行うだけ。強いて言えば、クッカーやガスカートリッジなど堅い装備が背中に当たるとストレスになるので、間に防寒着などクッションになるものを挟むといいでしょう。
その点、ヴァーガ3/55はスリーブに入れたスリーピングマットがクッションの役目を果たし、さらにフレームの代わりにもなるので、背負い心地は軽量ザックと思えないほど良好。テント泊装備大きなの重さを背負っても、辛いと感じることはありませんでした。
実物に触れて気づいた「いいね!」&「う〜ん……」
思っていたより背負い心地が良かったヴァーガ3。ただ、少し気になるところもある訳で……。いいと思った点と、いまいちと感じた点を紹介します。
◎|ボトルを出し入れしやすいサイドポケット

ヴァーガ3は大きなサイドポケットの作りも特徴です。試してみると、2本のボトルに折り畳み傘まで収めることができ、これはけっこう便利なデザイン。

さらに「いいね!」 と感じた点が、サイドポケットに入れた水筒の取り出しやすさです。背中から下ろさないとボトルに手が届かないザックもあるなかで、ヴァーガ3のサイドポケットは入り口が斜めにカットされているので、写真のとおり背負ったまま無理なくボトルを出し入れすることができました。これなら、ちょっと喉が乾いたときに立ったまま水分補給がしやすいです。
◎|何かと便利なフロントメッシュポケット

同じく収納力に関する特徴で、フロントに備わるメッシュポケットにも注目です。ストレッチ素材で作られているため、見た目はすっきりしていますが、ジャケットなど少々かさばるアイテムもしまうことが可能。雨水が付いたレインウェアをしまえばザックの内側が濡れずに済むし、使用頻度の高いウィンドシェルなどを入れておくのにも役立ちます。
◎|ヒップベルトにもポケットあり

△|背面がちょっと蒸れるかも

唯一気になったのは、背面パネルについて。近年のザックは、背中と荷室の間に隙間を設けたものや、縦方向に溝があるもの、通気性の高い素材を採用しているものが人気です。それがヴァーガ3になると、軽量化のために荷室と同じ素材を使い、隙間や溝がないフラットな形状をしています。
背面の通気性は期待できず、汗を含んだパネルが背中にピタッとくっつく様子は想像に難くないでしょう。背中が蒸れる点については、ある程度許容する必要がありそうです。
背負い心地のいい軽量ザックを探している方に

軽量ザックの新作「ヴァーガ3」。背面の通気性や蒸れ感には気になる点があるものの、UL系ザックの括りで考えれば、同一素材を使ったフラットな背面の形状は割りと一般的。そこに背面長の長さと肩幅、ヴァーガ3/55に関してはヒップベルトの長さまで調整できる仕様をプラスして、背負い心地を高められる点は、十分魅力的といえるでしょう。
ちなみに、ヴァーガ3/55はテント泊山行にぴったりなサイズ。ヴァーガ3/26は日帰りハイキングやトレッキングにおすすめです。
「ザックの重さが気になるけど、背負い心地はこだわりたい」。そんなユーザーはヴァーガ3を要チェック! あなたにとって理想のザックになるかもしれません。
グラナイトギア ヴァーガ3/55
容量 | 55L |
---|---|
重量 | 760g/545g※(※ヒップベルトを外した状態) |
コンフォートレンジ | 16kg |
適応背面 | 46~54cm(背面長と肩幅を調整可能) |
グラナイトギア ヴァーガ3/55 ウィメンズ
容量 | 55L |
---|---|
重量 | 760g/535g※(※ヒップベルトを取り外した状態) |
コンフォートレンジ | 16kg |
適応背面 | 38〜46cm(背面長と肩幅を調整可能) |
グラナイトギア ヴァーガ3/26
容量 | 26L |
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重量 | 570g/525g※(※ヒップベルトを外した状態) |
コンフォートレンジ | 9kg |
適応背面 | 46〜53cm(※背面長と肩幅を調整可能) |